先生、甘い診察してください
「何でそんな…意地悪、言うの…?」
こんなキツイ言葉、日向くんらしくないよ。
「何でって……ったく。あや、本当に鈍感過ぎ」
へ?ど、鈍感?
「あ~、確かに。ちょっと鈍感ちゃんかもね」
えぇっ!!智也さんまで同意!!
「正直、櫻田さんだったらカッコイイし……まぁ到底、俺が敵う相手でもないと思うけど…」
ツカツカとこっちに歩いてきた日向くんは、私の腕を掴んで、
「この人との交際は、認められない。……だから俺、奪う」
「う、奪う…?」
「絶対…あやを奪ってみせますから」
挑むような日向くんの視線は、智也さんの方に注がれてる。
「へ~。自信満々だね…。まぁ、あげないけど」
……何?この空気。
2人の間には、何やらバチバチと火花が飛び散ってるような気が。
「あやちゃん、行こう」
「へ?」
「せっかくの文化祭だもん。堪能しよう」
智也さんに手を引かれ、私はその場から連れ去られた。
チラッと日向くんの顔を見ると、今にも泣きそうなくらい、切なそうな表情をしてた。