先生、甘い診察してください
恥ずかしい。大橋先生に虫歯だらけの口の中を見られた。
「ごめんなさい…。私…」
こんな優しい先生がいるなら、早く来ればよかった。
「謝る事ないよ。少し時間はかかるけど、1つ1つ確実に治していこうね?」
「はい…!」
先生は笑ってる。でもマスクのせいで顔がよく見えない。
「レントゲン、撮ってもいいかな?」
「はい…」
大橋先生に案内され、レントゲンを撮って、再び診察台に戻った。
「そんじゃ、なんかあったら呼んで」
ヒラヒラと手を振って、櫻田先生は奥へと消えて行った。
先生の方を見ると、真剣な表情でレントゲン写真を見ていて、その姿にドキドキした。
「ちょっと、見てくれる?」
さっき撮ったレントゲン写真を見せられた。
「右下6番の歯…後ろから2番目の歯なんだけど、虫歯が大きくて…神経が完全にやられて、炎症を起こしてるね」
大変な事になってるみたい……。
「根っこに膿が溜まって、感染根幹を起こしてるの…わかる?ほら、ここが黒くなっちゃってるでしょ?」
そんな大変な事になってるんじゃあ…もう、治せないんじゃないの…?