先生、甘い診察してください
「あやちゃん」
櫻田先生の手が、私の頭の上に置かれた。
「うん、丁度いい高さ」
「…重いです」
よかった。
櫻田先生が一緒にいてくれて。
1人だったら、泣いてたかもしれない……。
「……智也に、俺がガツンと言っておくよ」
「…はい」
櫻田先生の手がふいに、頬に触れた。
私はそれを、拒絶しなかった。
「あやちゃん、これは…マジな話だけど…」
櫻田先生はしゃがみ込んで、私の顔を覗き込んできた。
鋭い眼差しに、つい釘付けになった。
「辛くなったら、いつでもおいで?俺のトコに」
私は“はい”とも、“嫌です”とも言わなかった。
何も反応しなかった。
ただ1つ、確かなのは、癒しを求めて来たはずが、余計に頭の中を混乱させただけだったという事。