先生、甘い診察してください




「なぁ智也、もしもだけど、俺があやちゃんに抱きついたら、どうする?」

「えっ……」


智也が明らかに動揺した表情をした。





「しかもあやちゃんは、俺が抱きしめても拒絶せず、俺の背中に腕を回してうっとりしてる」



グラスを握る智也の手が震えてる。


例え話に、どんだけ動揺してんだ?






「その現場を目の当たりにしたら…お前、どう思う?」

「嫌っ!そんなの絶対嫌だよ。いくら純でも…そんなの…」


だよな?



やっと俺の言いたい事が伝わったかな、とおつまみの枝豆をつまみながら一安心。






「つまりあやちゃんも、そういう気持ちだったんだよ」

「あ……」

「すごく、傷ついたみたいだよ。全く…。あやちゃんを傷つけるとか、許せない」



智也は俯いたまま、黙った。




キツく言い過ぎたかもだけど、今はこれくらい厳しく言う方がいいだろ。






< 233 / 497 >

この作品をシェア

pagetop