先生、甘い診察してください
「なぁ智也、もしもだけど、俺があやちゃんに抱きついたら、どうする?」
「えっ……」
智也が明らかに動揺した表情をした。
「しかもあやちゃんは、俺が抱きしめても拒絶せず、俺の背中に腕を回してうっとりしてる」
グラスを握る智也の手が震えてる。
例え話に、どんだけ動揺してんだ?
「その現場を目の当たりにしたら…お前、どう思う?」
「嫌っ!そんなの絶対嫌だよ。いくら純でも…そんなの…」
だよな?
やっと俺の言いたい事が伝わったかな、とおつまみの枝豆をつまみながら一安心。
「つまりあやちゃんも、そういう気持ちだったんだよ」
「あ……」
「すごく、傷ついたみたいだよ。全く…。あやちゃんを傷つけるとか、許せない」
智也は俯いたまま、黙った。
キツく言い過ぎたかもだけど、今はこれくらい厳しく言う方がいいだろ。