先生、甘い診察してください
靴に履き替えて、校舎を出て、門の方を見ると、見覚えのある人影が。
「あれって……」
一目でわかった。
門の前に立ってるのは、智也さんだって。
白衣のままだから、目立ってる。
「……どうしよう…」
何か…智也さんにも、あまり会いたくない気分…。
仕方ない。
少し遠回りだけど、裏門から…出ようかな…。
視線に気づいたのか、ふと智也さんがこちらを見た。
パッと目と目が合ってしまった。
「っ……」
気まずくなってすぐ逸らして、裏門から出ようと、クルリと背を向けた。
「あやちゃん……!!」
背後で、私の名前を呼ぶ大きな声がして、つい足を止めた。