先生、甘い診察してください
基本的に冷静な日向くんが、珍しくオロオロしてた。
滅多に見せない、困り果てた表情。
「お前に泣かれるの嫌だけど…。でも、あいつと幸せになるってのも嫌だし……」
矛盾してる言葉を呟きながら、日向くんの指は頬から離れた。
「お前には幸せになってほしいけど…あいつとってのが嫌なんだよ」
「…意味わかんない……きゃっ!」
日向くんの腕が、私の腰に回されて、抱き寄せられ、彼の胸にすっぽり納まった。
「実は俺さ、ずっと前、2人が喫茶店から出てくる所、目撃した事あるんだよ」
…え。
えぇっ!!!
「う、うううう…嘘…」
知らなかった。
「本当だよ。バスケ部のみんなとランニングしてる時にな。その時あや、ピンクのお気に入りのワンピース着てただろ」
あ…それって、私と智也さんが初めて…デートした時じゃん。
そもそもあれ、デートだったのかな?