先生、甘い診察してください
「ねぇ智也先生、お願いがあるの……」
陽菜ちゃんの手が、智也さんの白衣の裾を掴んだ。
上目遣い。
甘えるような表情。
あんな顔見せられたら、どんな人でもドキドキするだろうな。
「なぁに?」
「今度…私と、一緒に……映画、観に行こう。智也先生と一緒に行きたいの」
それって……。
「デートじゃん、アレ」
私が思った事を、サラッと櫻田先生が口にした。
「…いいよね?先生…。たまには……」
なんと陽菜ちゃんは、智也さんの手を握り、診察台から少し身を乗り出して、智也さんに顔を近づけた。