先生、甘い診察してください
でも、そんなにキッパリ言ったら陽菜ちゃんが……。
「か、のじょ……」
「うん。僕ね、彼女ができたんだ」
陽菜ちゃんは、きっと智也さんの事が好き。
でも智也さんは、それに気づいてない。
鈍感ってのも、時には残酷だなって改めて感じた。
「っ…何で……」
突然俯いた陽菜ちゃんは、パッと顔を上げたかと思ったら、
「えっ…ちょ、ちょっと……」
診察台から降りて、智也さんに抱きついた。
「私だって……私だって、ずっと智也先生が好きだったのに…!」
泣いてるって、声でわかった。
私はその場に立ち尽くす事しかできなかった。
「…嘘……」
「嘘じゃないよ…。ずっとずっと、好きだった……」
きっと陽菜ちゃんは、私が智也さんに出会う前からずっと、彼に恋してたんだと思う。
なのに、私が……。