先生、甘い診察してください
「この子が…彼女?」
「うん、そうだよ。僕の可愛い彼女」
腰に腕が回され、グイっと抱き寄せられた。
ドキッとしながらも、チラッと陽菜ちゃんの顔色を窺った。
「…何で……」
ジッと、品定めするかのように、大きな目で私を見つめる陽菜ちゃん。
「ズルイ…。私の方が…先に好きになったのにっ…ズルイっ…!」
泣きながら叫ぶ声は、悲しさや切なさ、いろんな感情が混ざってる風に聞こえた。
その切ない気持ちが、手に取るようにわかった。
私も経験したから。
恋の切なさや、悲しさを……。
「陽菜ちゃん、気持ちは嬉しいけど、ごめん。僕はその気持ちだけ受け取って、胸の奥に大事にしまう事しかできないな」
けじめをつけるというのは、実に波乱万丈だと感じた。