先生、甘い診察してください
近づく終わりと寂しさ
「さーて、俺は漫画の続きでも読もうっと」
重苦しい空気を変えるかのように、櫻田先生の大声が響いた。
智也さんの表情もキリッとした顔になった。
「さっ、早いとこ今日の治療をやっちゃおうか。向こうの診察室に行こうね」
手を引かれ、別の診察スペースに誘導された。
「…ねぇ」
「んー?」
カルテを見てた智也さんは、視線を私に移した。
「もし、私がいなかったら智也さん……陽菜ちゃんと、付き合ってましたか…?」
「……」
我ながら、大胆な質問なだと思った。
言った後で少し後悔。
「あ、あやちゃん……」
一方の智也さんは、
「もう…馬鹿っ!馬鹿!!馬鹿っ!!」
馬鹿を連呼。