先生、甘い診察してください


「大丈夫…?」


機械音が止まり、閉じていた目を開くと、先生の顔のドアップが。



ち、近い!!顔の距離が近過ぎる!!



「んー…どうしようかなぁ。まだ露髄できてないからなぁ…」


ドキドキしてる私とは対照的に、「んー」と首を傾げながら先生は唸ってる。



「あのね、炎症が酷いから麻酔がうまく効かない状態なの。だから神経にお薬を入れようね」


頭の中に浮かんだ「?」マーク。



「麻酔を神経に直接するって事。針が刺さる時は痛いけど…がんばったら、後は楽だから」


痛いってわかってるなら、やりたくない。



「…嫌、です」


少し我儘を言ってしまった。




「痛いのは一瞬だけど…無理、かな?」


そんな表情されたら……嫌って言えない。






宣告通り、神経に直接する麻酔は痛かった。



その後、また歯を削られたり、尖った小さな器具で神経が取られたりしたけど、全然痛くなかった。




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