先生、甘い診察してください



ツカツカと歩み寄ってきた日向くんは、智也さんを鋭い視線で睨んで私の腕を掴んだ。




「お前、何してんだよっ!!無断外泊なんて…」

「…何で……」


どうしてその事、知ってるの?




「お前の兄さんから朝早くに電話があって、お前が家に帰ってないって…」


お兄ちゃんったら、日向くんに連絡したんだ。




「痛いっ……」



掴まれた腕が痛い。


力、強過ぎ……。



「コラ、痛がってるよ?離してあげて」


智也さんがさり気なく日向くんの手を離してくれた。




「…何だよ、あんた。どうせあんたが、あやをたぶらかせたんだろ?」

「日向くんっ!!」


らしくない、棘のある言い方。


明らかに不機嫌オーラが漂ってて、怖い……。



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