先生、甘い診察してください



「俺の知ってるあやは、基本的に控えめで、そんなにムキになる事なんてないと思ってたのに」



ポンッと、頭の上に置かれた大きな手。





「…何か、悔しいくらい思い知らされた気がする……」



グシャグシャと乱暴に頭を撫でられた。




優しい手。


そういえば小さい頃、よくこうして撫で撫でしてもらったっけ。






「俺、何があっても絶対にあやを諦めないで無理矢理奪おうって思ってたけど」



チラッと、日向くんの視線が智也さんへ注がれた。


そしてはぁ、と呆れたようなため息を漏らした。





「こんな35のおっさんに負けるのは、すっごい悔しい」

「日向くんっ…!!」



もう、また失礼な事を……。






「…でも、こいつといる時、あや…すっごい良い顔してた」

「えっ……」


自分じゃ自覚ないけど、そんな良い顔してたの?




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