先生、甘い診察してください
「幼馴染だけど、あんな良い顔初めて見た」
自分の頭を手でクシャっとした日向くんは、再び深いため息を漏らし、
「もうっ!!あやを困らせるのは嫌だし……仕方ないなっ!!」
急に大声を上げた。
そして、おもむろに智也さんに歩み寄り、軽く胸倉を掴んだ。
「ちょ、ちょっと……!!」
まさか喧嘩!?
慌てて止めに入ろうとしたけど、違うみたい。
「あやの事、不安にさせたり、泣かせたり…絶対するなよ?」
「わかってる。絶対に幸せにするもんね」
パッと、日向くんは胸倉を離した。
そして今度は私のそばに来て、
「ごめんな、あや…。いろいろ、困らせて…」
ペコッと、頭を下げた。
「あの日以来、ずっと考えてた。俺はどうするべきなのか。本当はお前を諦めるのは嫌だけど…」
今にも泣き出しそうなその表情を見て、苦しくなった。
いつも明るい日向くんでも、こんな表情するんだ。