先生、甘い診察してください
―チュッ
「……!!!」
何が起きたのか、理解できなかった。
「なっ、何やってんの!!」
聞こえてきたのは、余裕なさ気な智也さんの声。
唇に柔らかい物が触れた。
まさか、これって……。
「認める代わりに、あやの唇…もらったよ」
ベッと、下を出して悪戯っぽく笑う日向くん。
「ちょ、ひ…ひひひ、ひ日向くん…」
錯乱状態の私。
「でもお前ら、もうキスしてるよな。ファーストキスを奪えなかったのが残念」
クルリと背を向け、
「困らせたりして、悪かったよ……」
ぶっきらぼうに呟いた。
背を向けたままスタスタと歩き出した日向くんは、少し歩いて足を止め、私達の方を振り向いて、
「あやっ!俺は昔も今もこの先も、お前が大好きだから!!」
大胆な愛の言葉を叫んで、走って帰って行った。