先生、甘い診察してください
家に着いて、リビングに入って、私は智也さんの隣に座り、お兄ちゃんは向かい側に座った。
重苦しい空気。
「どういうつもり?勝手に外泊させるなんて」
やっと発された言葉は、明らかに怒りが含まれていた。
「だから~、こっちもいろいろあったの!仕方なかったんだよ~」
なのに智也さんってば、すっごい冷静。
いつもと同じ、フワフワ口調。
「そもそも翔太くんは、昨夜…何してたの?」
「え……?」
「あやちゃんが僕の所にいるって、何となく察しはついたよね?」
智也さん…何が言いたいんだろう?
「だったら別に、うちまで迎えに来てもよかったのに。あー、もしかして妹そっちのけで爆睡してた?」
お兄ちゃんは、動揺した表情をした。
そういえば……。
ポケットからコッソリ携帯を取り出して、着信やメールがあった時間を確認。
時刻はどれも……朝早く。
夜中には、メールも電話も一切ない。