先生、甘い診察してください
「不安にさせて、ごめんね……?」
ポンッと頭に置かれた手。
「智也さん……」
吸い込まれるように、彼の胸に飛び込んだ。
白衣からする歯医者さんの匂い。
でも全然、嫌じゃない……。
「おい、俺の前でイチャイチャするなよ、あんたら」
甘い空気が漂いかけていたが、あっさり壊された。
「あ、いたの?」
「いたのって…。智也っ!!お前、酷いなぁ」
女々しくオーバーリアクションな櫻田先生。
見てて飽きないけど、とりあえず……。
「櫻田先生、ずっと私のそばにいてくれて、ありがとうございました」
一応、この人のおかげで少しは気が紛れたのも事実。