先生、甘い診察してください
「もうっ!智也チャンってば怖いんだから~」
こんな時でもお茶目な櫻田先生。
「でもさぁ…マジな話だけど……」
ついさっきまでふざけてたのに、急に真面目な顔になった。
「もし智也が、またあやちゃんを泣かすような事したら……俺、本気で奪うつもりだった」
……奪う?
何を??
目が合うと、櫻田先生はアイドルのようにウィンクをした。
「…純……」
「チャンスは逃したくないからね。でも……やっぱ俺の入る隙、ないみたい」
眉を下げて、小さく笑う姿は、切なそうに笑ってた日向くんや陽菜ちゃんと類似してる気がした。
「そんじゃ、俺は帰るから。2人でごゆっくりー」
「…櫻田先生」
「んー?」
「今日は…本当に、ありがとうございました」
そう言うと、ニコッと太陽みたいに笑って、
「どーいたしまして!」
と、言って、大きく伸びをしながら休憩室を出て行った。