先生、甘い診察してください



「えっ……。嫌っ……!!」



両手で口元を覆った。


ヤダ…。削るの?




「大丈夫。怖くないよ?被せ物を削るだけ。痛みはないからね」


痛くなくても……。




「はい、あーんして~」



口を開くと、独特な大きな音が診察室に広がった。




確かに痛くはないけど……。


音と振動は…すごく…怖くて、嫌……。



それでも、痛みはなかったので、早く終わる事を願ってジッと耐えた。






「よし。これでどうかな?」



やっと口から器具が抜かれ、噛んでみると……、




「……」



まだ微妙に高い。


でも素直に高いって言えば、また削られちゃう……。





「大丈夫、みたい…です……」



咄嗟に嘘をついた。



< 352 / 497 >

この作品をシェア

pagetop