先生、甘い診察してください
「えっ……。嫌っ……!!」
両手で口元を覆った。
ヤダ…。削るの?
「大丈夫。怖くないよ?被せ物を削るだけ。痛みはないからね」
痛くなくても……。
「はい、あーんして~」
口を開くと、独特な大きな音が診察室に広がった。
確かに痛くはないけど……。
音と振動は…すごく…怖くて、嫌……。
それでも、痛みはなかったので、早く終わる事を願ってジッと耐えた。
「よし。これでどうかな?」
やっと口から器具が抜かれ、噛んでみると……、
「……」
まだ微妙に高い。
でも素直に高いって言えば、また削られちゃう……。
「大丈夫、みたい…です……」
咄嗟に嘘をついた。