先生、甘い診察してください




「なーにニヤニヤしてんの?」



急に頭上から聞こえてきた、悪戯っぽい声。


顔を上げれば、




「日向くんっ!!」


…いつの間に?





「その調子だと、あのおっさんと上手くいってんだな」

「だから……」


智也さんはおっさんじゃないもん!!





「歴史の教科書、貸してよ」

「うん、いいけど……」

「サンキュー」



私達のやり取りを、琉璃ちゃんは頬杖をついてニヤニヤしながら見守ってた。




日向くんは、いつも通り。


普通に接してきてくれた。




気まずくならなくて、ホッとした。




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