先生、甘い診察してください
でも、とりあえず怪我人が出なくてよかった。
「はい、お茶」
コップに入った麦茶が、4人分ソファーの前のテーブルに置かれた。
お兄ちゃんは私と目を合わせないまま、向かい側に座った。
「妊娠の事、聞いたよ」
率直に、話題を切り出された。
「翔太くん、これは僕の責任だから。僕が避妊を忘れて…」
「智也は黙ってて。俺はあやに言ってるの」
空気が、ピリピリした。
小刻みに体を震わせてると、櫻田先生がコッソリ背中をさすってくれた。
「あや、何でその事、黙ってたの?」
「……妊娠ってわかったの、昨日だから…」
黙ってたわけじゃない。
判明したのが遅かったし、今までのが妊娠の症状って気づかなかった。