先生、甘い診察してください
「…意外」
思わず、口から本音が漏れた。
「何が?」
小さな声でも、聞き逃してくれないのがお兄ちゃん。
「だって…絶対、怒ると思った。妊娠したって知ったら。激怒すると」
ビンダされる覚悟はしてた。
いざとなったら、家出するしかないかも…とまで考えた。
「……怒らない。恋人同士なら、いつかは…そういう日が来るもんだから」
お兄ちゃん…その辺は理解してくれてたんだ…。
「ただ、こんな早く、その時が来るとは思わなかった」
ギロリ、と鋭く智也さんを睨みつけた。
…お兄ちゃん、顔怖いよ?