先生、甘い診察してください
「あ、そうそう。あやちゃんに渡したい物が……」
おもむろに智也さんは、白衣のポケットから何かを取り出した。
そして私の前に立て膝をついた。
まるで王子様のように。
「何度か言ってるから、もうマンネリ化してるかもだけど……」
何て言おうとしてるのか、自然と予想できてしまった。
そもそも智也さんが考えてる事は意外とわかりやすい。
「僕と、結婚してください」
やっぱり…プロポーズだ……。
自然と緩む頬。
思わず両手で顔を覆って、俯いた。
「コラコラ。お顔を隠さないの。左手、出して」
左手を差し出したら「目を閉じて」と言われた。
目を閉じると、左手の薬指にヒヤっとした感覚が。
これって…もしかして……。