先生、甘い診察してください




智也さんが他の女の子にも、この大好きな笑顔を向けてるのかと思ったら少し妬けちゃう。






「ん?何か考え事~?」

「別に。何でもありませーん。ほら、市役所行くんでしょ」



私は智也さんの手を握った。



智也さんはニコッと笑って、ゆっくり私の手を引いて歩き出した。






その大好きな笑顔を独り占めしたい。


私だけに向けて欲しいな、なんて…そんな恥ずかしい事、今はまだ言えない。




でも……、





「あ、忘れ物」

「えっ…」

「検診の後のキス。がんばったご褒美ね」




唇が重なって、不意打ちなキスをされた。






智也さん、これから先も私だけに…甘い診察、してくださいね…。







【終わり】




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