先生、甘い診察してください
って、今はそんな事考えてる場合じゃない!!
「せっ…、先生っ…」
お互いの顔の距離は吐息がぶつかるくらい。
マスクをしてないから、先生の顔はよく見える。可愛い系だけど、綺麗な顔…。
顔の距離が、2センチ、1センチ……。
「…なんてね」
「…へ??」
もう少しで唇がくっついちゃうってとこで発された気の抜けた声。
「今のは軽い冗談。あやちゃんが、可愛いってからかうから」
もう少しで心臓が爆発するところだった…。
「今のでわかったでしょ?僕だって、男なんだよ?だから~…、狼さんなんだよ?」
どっちかっていうと、子羊さんって感じだけど。
「先生、意外と力あるんですね…」
「まぁ、ある程度はね」
よーく見ると、腕とか程よく筋肉もついてる…。
「んふふ、それにしても…、ピュアだね~」
「だって…!」
あんな事されたの、生まれて初めてなんだもん。
ましてや、好きな人に…。
「あ、私…、そろそろ帰りますね」
「次の治療は3日後ね」
「はーい。ありがとうございました」
お礼を言って、診察室を出た。
「…はぁ~。素直過ぎ…。めっちゃ不意打ちくらったぁ…」
なんて、先生が呟いてた事を私は知らない。