先生、甘い診察してください
当たって砕けて
「……ちゃん。あやちゃんっ!! 」
「はっ、はいっ!!」
ハッと我に返ると、目の前には呆れ顔の琉璃ちゃん。
「さっきから何度も呼んでたのに…。今日のあやちゃん、変!」
うん。確かに今日の私、変かもね。
だけど仕方ないの!抜けないんだもん!!昨日の余韻がっ!!
冗談とはいえ、思い出しただけでドキドキする。
「てゆーか最近のあやちゃん…ポーっとしてるっていうか、恋する乙女みたいな顔する時があるよね」
琉璃ちゃん、なかなか鋭いよ…。
「私…好きな人なんて、まだいないよ?」
「…だよね」
ごめんね?
言える時がきたら言うから。今は内緒って事で!
「あや」
肩をポンッと叩かれた。
「日向くんっ!」
いつの間にか、私の後ろに日向くんが。
…あぁ、女の子達の視線がこっちに集まってる。
「山中さん、こいつ借りていい?」
「いいけど、乱暴な事したら許さないよ」
腕を引っ張られて、何故か廊下へ連れ出された。
そして何故か廊下の隅へ。話なら教室でもいいのに…。
「どうしたの?日向くん」
日向くんの表情が、いつになく真剣。いつも基本は笑顔なのに。