先生、甘い診察してください

その日の夜、早速リサーチしてみた。



「あ、あのさ…お兄ちゃん」

「ん、どうした?」


今日の夕食はオムライス。スプーンで突きながら、言葉を続けた。



「大橋先生ってさ、甘い物…好き?」

「んー、どうだろ…」



私の中で男の人は、甘い物はあまり好きじゃないってイメージがある。



「多分、普通だと思う。好きでも嫌いでもないっていうか」



よかった。じゃあ誘っても大丈夫だね。




「…あや」

「ん?」

「…最近、さ」



何故かお兄ちゃんは、スプーンを置いてジッと私を見つめていた。




「智也の話ばかりするね」

「そ、そう?」



そういえばそうかも…。



「…あや、まさかとは思うけど」

「…何?」


シンッと不自然に流れる沈黙。嫌だな、こういう空気。




「ごめん。やっぱ何でもないや」


沈黙の後、発された言葉に少し力が抜けた。



たいした話じゃなかったのかな?何て言おうとしたんだろ?




「…そういえば、最近智也もあやの話ばかりしてるな」

「えっ…」

「あやの事はよく話題に出てるよ。あの人、異性に全く興味ない人なのに」



そ、それって……。




大橋先生もすこーしは私を意識してくれてるって事?



……なーんて、そんな解釈おめでた過ぎるか。



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