先生、甘い診察してください


そんなこんなであっという間に医院に行く日がきた。


明日は日曜日。「明日お茶に行きませんか?」って今日は勇気を振り絞って言う予定。



「…ど、どうしよう」


医院の前に着いて、急激にドキドキしてきた。


しばらくウロウロしてると、




「なーに挙動不審な動きしてんの?」

「えっ?あっ、櫻田先生っ!」


振り向くと、白衣の上にパーカーを着てコンビニの袋を持った櫻田先生が。




「サボらず通院して偉いねー。俺なら絶対サボってる!」


元気だなぁ…。


それにしても背高いなぁ。180くらいありそう。改めて見ると、綺麗な顔してる…。



「あれれ~。俺に見惚れちゃってた感じ?」

「ちっ、違います!!」

「ちぇ~。あやちゃんみたいに可愛い子なら大歓迎なのに~」


この人、本当に医者?髪の毛茶髪だし、しかも今気づいたけど、耳にピアスしてる!!




櫻田先生って、やっぱチャラチャラした人なんだな。


この人には絶対、口の中を触られたくない。



医院の中に入ると、待合室に患者さんの姿はなくて、その代わりに、



「…大橋先生?」


ソファーに座って、スヤスヤ眠る好きな人の姿が。



「あちゃー。まーた寝てるよ。ここで寝るなって何回も言ってんのに」


ブツブツ言いながら櫻田先生は診察室へと入っていき、待合室には沈黙が流れる。


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