先生、甘い診察してください
「あの…、先生」
肩を軽く揺すってみると、
「んぅ……」
起きたくないと言わんばかりに、フルフルと首を横に振ってる。
私は隣に腰を降ろして、ジッと先生の顔を見つめた。
「…やっぱ、童顔」
思わず笑みが零れて、指でそっと頬を突いた。
「…悪かったね。童顔で」
「え?」
腕を急に掴まれて、軽く混乱した。
「せっ、先生っ!寝てたんじゃ…」
さっきまでスヤスヤ寝てたのに…。
「ウトウトしてただけ」
いやいや、明らかに寝てましたけど?
あれ?もしかして今…、チャンス?
お茶に誘う、絶好のチャンスなんじゃないの?
「あ、あのっ…」
「ん?どした?」
「せっ…、先生っ!よかったら」
勇気を振り絞って、言おうとしたら、
「ちょっとー、いつまでそこ独占してんの?早く診察始めたら?」
診察室から出てきたのはお兄ちゃん。
「治療の準備はしてあるから、早くしな。つーか智也、待合室で寝るな」
もうっ!!お兄ちゃんの馬鹿っ!!少しは空気読んでよ!!