先生、甘い診察してください
タラリと、額から汗が流れた。
「あや…」
お兄ちゃんは両手を壁について、私の逃げ場を完全になくしてしまった。
これって、少女漫画とかによくある、壁ドンってやつだよね?
ちょっとされてみたいなーって憧れてたけど、だけどこれって全然ロマンチックじゃないよ!!相手はお兄ちゃんだし…。
「とにかく…隠し事はなし!」
「あっ…!」
お兄ちゃんは両手で私の手を掴んで、一気に上へと私の手を上げさせ、私はバンザイのポーズに。
そして、手に持っていた痛み止めの薬が床に落ちた。
(…あぁ、もう…ダメだ…)
これで隠し通せなくなった。
不安感に押し潰されそうだった。
「あや、これって…」
私をよそにお兄ちゃんは落ちた薬を拾って、眉をひそめた。
「…ごめんなさい」
口からは自然と謝罪の言葉が出ていた。