先生、甘い診察してください


「じゃあ、次の治療は」


おっと…、そうだそうだ。呑気にしてる場合じゃない!!



「あっ、あの!先生っ…」

「なぁに?」

「…あの、ですね。あの…その……」

「どうしたの?」



いざ、言うとなると言葉が出てこなくて、ついモジモジ。



気の長い先生は私が何を言うのか待っててくれてる。





「もしかして、気になる歯があるの?」

「いえ、そうじゃなくて…」



言葉に詰まって、気がつけば沈黙。時計の針のカチカチという音が妙に大きく聞こえた。



カァーっと真っ赤に染まる頬。



熱い。

頬が…すごく、熱い。



「せ、先生…、明日って……な、何して…過ごす、予定、ですか…?」



まずは相手の予定を確認。



「明日?休みの日はなぁ…特に予定はないや。いつも適当に過ごしてるの。休みの日は基本暇だからさー」


暇っ!じゃあ、これってチャンスなんじゃない…?



ドクンドクン…と今までにないくらい、心臓がうるさかった。



あぁ、想像以上。


思った以上に勇気がいる事なんだね、これ。





「わっ…私の学校の近くにっ…新しいカフェができたんですっ!!よかったらっ…いっ…一緒に行きませんかっ…?」



言い終わった後、膝の上で手を握り締めて俯いた。




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