BitteR SweeT StrawberrY
       *
今夜は・・・
なんだか、ケイと離れたくなかった。
どうしてだろう・・・
何かが不安で・・・
ずっとケイと一緒に居たい気分だった。
思い切って、勇気を出して・・・
「泊まっていい?」って聞いたあたしに、ケイは、柔らかく笑うと、「いいよ」って答えてくれた。

パジャマに着替えたあたしは、ケイのベットの上でうつぶせになって、カラーコーデの本をまじめに読んでいた。
色んな種類の色があって、それぞれに名前もあって、どの色がどの色に合うか、どの色とどの色を合わせるとビビットになるか、そんなことが詳しく書いてあって、あたしは、しみじみ感心してしまう。

「すごい組み合わせがあるんだね~・・・・あたし、こういう本、全然読んだことなかった」

素直に驚いてそう言ったあたしの隣で、ケイは、ゆっくりと体制を変えながらくすくすと笑った。

「洋服屋も、馬鹿じゃできないんだぞ」

「こうやって勉強してるんだね。うん・・・なんか凄いかも。あたしも、ケイに教えてもらって、勉強しようかな。お洋服のこと」

「センスっていうのも確かにあるけど、そこは経験でカバーもできる。
優子だって、やる気になれば、それなりにできると思うよ」

「それなりって!」

「それなりにな」

ケイはそう言って、からかうように笑った。

「ひっど~い!」

膨れたあたしの髪を優しく撫でながら、ケイは、まっすぐな瞳で、あたしの顔を見つめる。
その視線をまともに受け止めたあたしは、思いっきり照れて、ハッと目をそらしてしまった。
それで、ふと思い立った。
ケイのことを好きと言っておいて、大輔の話しをするのはどうかと思ったんだけど・・・
でも、何か踏ん切りが欲しくて、あたしは、視線を逸らしたまま、こんな話しを切り出した。

「あのね」

「うん」

「この間、友達に言われたんだけど・・・」

「うん」

「もしかしたら、あたしの彼氏・・・浮気してるかもしれないって」

「んー?なんでそんなこと言われたの?」

ケイが、怪訝そうな顔つきでそんなこと聞いてきたので、あたしは、美保の話しと・・・ちょっと恥ずかしかったけど、大輔とのセックス事情を、大まかにケイに話してみた。
するとケイは、ごろんって仰向けになって、何かを考えこむように少し黙ると、天井を見つめたまま、こう言った。

「うーん・・・まぁ、確かに怪しいな、それは」

「ケイもそう思う?」

「思うな。っていうか・・・それに気付かない優子が、優子らしい」

なんだか、変に可笑しそうにくすくすと笑うケイ。
あたしは、ピロウに頬杖を付いて、思わず唸ってしまった。

「うぅ・・・・やっぱり、あたしが鈍いんだ・・・」

「鈍いっていうか・・・優子は経験不足なんだよ。経験がないから、知識もない。
何が怪しくて何が怪しくないか、その知識がないから、ずっと気付けない」

「ぅっ!そ・・・それを言われると、ほんと・・・返す言葉が」

あたしは苦笑して、ちらっと、隣で横になってるケイを見た。
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