BitteR SweeT StrawberrY
あたしは、どきどきしながら、そーっと唇を近づけて、ケイの唇にキスをする。

苺を練りこんだ生クリームのような、ケイの唇。
唇を離して、思い切り照れたあたしは、顔を真っ赤にしてうつむいた。
ドキドキする。
カーって顔が熱くなって、ちょっとだけ体が震えた。
ケイは、静かに瞳を開くと、可笑しそうにくすくすと笑って、あたしの髪を撫でる。

「自分からしといて、その反応とか・・・おまえ、ほんと面白いな」

「うっ!だ、だって!
あ・・・あたし・・・自分から・・・キスとか・・
普通は・・・しないもん」

「一応これも、勇気な訳だ」

「だよ・・・っ」

顔を上げて、ちょっとムキになってそう答えたあたしを、ケイは、からかうような視線で見つめる。
あたしは、そんなケイを上目使いにみて、「うぅ」って唸ってしまった。
くすくすと笑ったケイが、あたしの手首を掴んで、ぐいって自分に抱き寄せる。

「あっ」

あたしは、ケイの腕にぎゅって抱き締められて、どきどきしながら、背中に手を回してぎゅって抱き締め返した。

「優子の体は、あったかい・・・」

あたしのほっぺに自分のほっぺを寄せて、ケイはそう言う。
あたしは、恥ずかしくなって、なんて言ったらいいかわからなくなって、もう一度、ぎゅうってケイを抱きしめた。
別に、何もしなくても・・・
セックスなんかしなくても、こうやってもらうだけで、あたしは、とっても幸せだった。

ケイは、あたしをぎゅって抱き締めたまま、おかしそうに笑った。

「優子」

「うん?」

「誕生日・・・日曜だったよな?」

「うん・・・そうだね。それが、どうしたの?」

「仕事、終わったら、どっかいくか?」

ケイはそう言って、やけに穏やかに微笑んだ。
あたしはその笑顔を見て、ものすごく嬉しくなって、また、ぎゅうってケイを抱き締めると、子供みたいに笑って頷いたのだった。

「うんっ!」

あたしは、その時、本当に、幸せだった・・・
幸せすぎて、少し不安にもなった・・・
それを隠したくて、あたしは、何度も何度も、ケイのほっぺに自分のほっぺをすりすりとすり寄せた。

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