BitteR SweeT StrawberrY
*
事務所でタイムカードを押して、荷物を持ってフロアに出ると。
なんだか、さっきよりもお客さんが増えたみたいで、同じ時間に上がるはずの真帆ちゃんは、いまだにフロアで接客をしていた。
レジには雛乃ちゃん、新城さんも接客中。
ケイは、ストックヤードを覗き込んで、佐野さんに何か言ったみたいだった。
ケイがフロアに戻ろうとすると、その後ろから佐野さんが出てきて、やけにクールに笑う。
そんな佐野さんを振り返りながら、ケイも、笑って何かを話していた。
お店のBGMと、お客さんの足音や話し声で、何を話していたのか、あたしには判らなかった。
でも、佐野さんが、一人のお客さんの所に歩いて行くのを見て、ケイが、佐野さんにヘルプを頼んだんだなって理解できた。
接客・・・
あたしも覚えられたら・・・
もう少し、ケイの役に立てるのかな・・・?
ケイが別のお客さんを試着室に案内していく。
その間、佐野さんは、さっきのお客さんと、笑顔で何か話していた。
あたしは、事務所のドアの前でぼーっとその様子を見ながら、なんだか、あたしは、ますます、自分が情けなくなってしまう。
ケイの仕事の手伝いすらできない自分が、ほんとに情けないなって、なんだか、変に落ち込んだ。
「優ちゃん!」
思わずぼーっとしていたあたしの耳に、突然、そんな声が聞こえて、あたしは、うつむき加減だった顔を、ハッと上げる。
そこに立っていたのは、美保だった。
「あれ?美保?!」
「バイトお疲れさま~!
っていうか、優ちゃん、このお店!結構有名なお店じゃん!
こんなとこでバイトしてたんだね!」
美保は、あたしの心情なんて全然しらないまま、にっこりと笑ってそう言った。
あたしは、思わず、ぎこちなく笑ってしまう。
「う、うん」
「ここの系列の別のお店なら行ったことあるよ!」
「そ、そうなの?」
「うん!ねぇねぇ、ちょっと見てっていいかな?服?」
「あ!うん、全然OK!」
「おお!やった!」
美保は、なんだか嬉しそうにそう言ってフロアの端の方から、店内を歩き始めた。
あたしは、そんな美保の後ろを歩きながら、なんだか気になって、ケイの方を見る。
ケイは、試着室の前で、服を試着した若い女性客と笑顔で話している。
お客さんは、嬉しそうな顔で、ひらひらとワンピースの裾を揺らしながら笑っていた。
きっと、あのお客さん、あの洋服を買うと思う・・・
あたしがそんなことを思った時、目の前で洋服を見ていたはずの美保が、急に、やけに弾んだ声で、あたしにこう言った。
「ちょ!優ちゃん!あの店員さん!ジェイドくん!?」
「え!?」
あたしは、キラキラと目を輝かせる美保の視線を追った。
そこにいたのは・・・間違いなくケイだった。
ケイはまだ、あたしたちの視線に気付いていない。
ジェイドくんというのは、美保がお気に入りのバンドのヴォーカリストの名前で、美保は、前からそのバンドが好きで、よくコンサートにも行くって言ってた。
事務所でタイムカードを押して、荷物を持ってフロアに出ると。
なんだか、さっきよりもお客さんが増えたみたいで、同じ時間に上がるはずの真帆ちゃんは、いまだにフロアで接客をしていた。
レジには雛乃ちゃん、新城さんも接客中。
ケイは、ストックヤードを覗き込んで、佐野さんに何か言ったみたいだった。
ケイがフロアに戻ろうとすると、その後ろから佐野さんが出てきて、やけにクールに笑う。
そんな佐野さんを振り返りながら、ケイも、笑って何かを話していた。
お店のBGMと、お客さんの足音や話し声で、何を話していたのか、あたしには判らなかった。
でも、佐野さんが、一人のお客さんの所に歩いて行くのを見て、ケイが、佐野さんにヘルプを頼んだんだなって理解できた。
接客・・・
あたしも覚えられたら・・・
もう少し、ケイの役に立てるのかな・・・?
ケイが別のお客さんを試着室に案内していく。
その間、佐野さんは、さっきのお客さんと、笑顔で何か話していた。
あたしは、事務所のドアの前でぼーっとその様子を見ながら、なんだか、あたしは、ますます、自分が情けなくなってしまう。
ケイの仕事の手伝いすらできない自分が、ほんとに情けないなって、なんだか、変に落ち込んだ。
「優ちゃん!」
思わずぼーっとしていたあたしの耳に、突然、そんな声が聞こえて、あたしは、うつむき加減だった顔を、ハッと上げる。
そこに立っていたのは、美保だった。
「あれ?美保?!」
「バイトお疲れさま~!
っていうか、優ちゃん、このお店!結構有名なお店じゃん!
こんなとこでバイトしてたんだね!」
美保は、あたしの心情なんて全然しらないまま、にっこりと笑ってそう言った。
あたしは、思わず、ぎこちなく笑ってしまう。
「う、うん」
「ここの系列の別のお店なら行ったことあるよ!」
「そ、そうなの?」
「うん!ねぇねぇ、ちょっと見てっていいかな?服?」
「あ!うん、全然OK!」
「おお!やった!」
美保は、なんだか嬉しそうにそう言ってフロアの端の方から、店内を歩き始めた。
あたしは、そんな美保の後ろを歩きながら、なんだか気になって、ケイの方を見る。
ケイは、試着室の前で、服を試着した若い女性客と笑顔で話している。
お客さんは、嬉しそうな顔で、ひらひらとワンピースの裾を揺らしながら笑っていた。
きっと、あのお客さん、あの洋服を買うと思う・・・
あたしがそんなことを思った時、目の前で洋服を見ていたはずの美保が、急に、やけに弾んだ声で、あたしにこう言った。
「ちょ!優ちゃん!あの店員さん!ジェイドくん!?」
「え!?」
あたしは、キラキラと目を輝かせる美保の視線を追った。
そこにいたのは・・・間違いなくケイだった。
ケイはまだ、あたしたちの視線に気付いていない。
ジェイドくんというのは、美保がお気に入りのバンドのヴォーカリストの名前で、美保は、前からそのバンドが好きで、よくコンサートにも行くって言ってた。