BitteR SweeT StrawberrY
*
フロアを行きかうお客さんの足音が、ちょっと少なくなってきた。
何気なく時計を見ると、時間は、もう、5時近くになってた。
考え事しながらやってたせいか、なんだか、いつもより時間が短く感じる。
五時にはきっと遅番担当のスタッフ、一ノ瀬 彩さんがくるはず。
ケイは店長さんだから、5時ぴったりに終ることってないだろうけど・・・
色々考えこんだせいで、少し沈んでいたあたしの心は、仕事が終わればケイとデートだって思うと、段々と浮上してきた。
あたしが、ダンボールの片付けをしていた時、不意に、ストックヤードのドアが開く。
あたしが、ハッとして振り返ると・・・そこには、ケイが立っていた。
「あ・・・お疲れさま!」
あたしは、思わず笑顔になって、そう言った。
ケイは、唇だけで柔らかく笑って、ゆっくりとあたしの前に立つと、手に持っていた、このお店のロゴ入りの紙バックをあたしに差し出したのだった。
「これに着替えて待っとけ。アヤが来たら、こっちも仕事切り上げるから」
そう言って笑うケイを、あたしはきょとんとして見つめてしまう。
「え?これ・・・?ん?」
ちょっとだけ戸惑いながら、あたしは、ケイの手から紙バックを受け取って、中を見てみる・・・
「え・・・?えっ?えぇ!?」
あたしは、紙袋の中身と、笑ってるケイの顔を交互に見て、なんだかアタフタとしてしまった。
中に入っていたのは・・・
この間、あたしがケイに試着させてもらった、あの小花のワンピとボレロ丈のジャケット。
昨日、美保がお店に来たから、あたしは無駄にあたふたして、前金を入れ忘れてしまったのに・・・
今日の帰りに、前金をいれて取っておいてもらおうと思ってたのに・・・
なんで、今、こうやって渡されるのか、あたしは全然わからなくて、あたしは、ひたすら戸惑ってじーってケイの顔を見つめてしまう。
ケイは、そんなあたしの頭にぽんって手を置くと、こう言った。
「ああ、それ、プレゼント。誕生日だから特別な」
「え!!?いえ・・・あれ?!え??え??
いや、でも、これ・・・高いし!!」
思わずそう言ったあたしを見つめ返して、ケイは可笑しそうに笑った。
「プレゼントだって言ってんだから、素直にもらっておけ」
「ええ?で、でも!」
「誕生日に、スタッフに服プレゼントすんのは結構恒例。だからもらっとけ。
とりあえず、アヤ来るまでに着替えしとけよ」
ケイはそう言って、笑いながらあたしに背中を向けると、すうってドアを出ていってしまう。
あたしは、紙バックを持ったまま、すこしの間呆然として、締まるドアを見つめていた。
ケイ、行っちゃった・・・・
7万8000円の服、さらっとあたしに渡して・・・
フロアを行きかうお客さんの足音が、ちょっと少なくなってきた。
何気なく時計を見ると、時間は、もう、5時近くになってた。
考え事しながらやってたせいか、なんだか、いつもより時間が短く感じる。
五時にはきっと遅番担当のスタッフ、一ノ瀬 彩さんがくるはず。
ケイは店長さんだから、5時ぴったりに終ることってないだろうけど・・・
色々考えこんだせいで、少し沈んでいたあたしの心は、仕事が終わればケイとデートだって思うと、段々と浮上してきた。
あたしが、ダンボールの片付けをしていた時、不意に、ストックヤードのドアが開く。
あたしが、ハッとして振り返ると・・・そこには、ケイが立っていた。
「あ・・・お疲れさま!」
あたしは、思わず笑顔になって、そう言った。
ケイは、唇だけで柔らかく笑って、ゆっくりとあたしの前に立つと、手に持っていた、このお店のロゴ入りの紙バックをあたしに差し出したのだった。
「これに着替えて待っとけ。アヤが来たら、こっちも仕事切り上げるから」
そう言って笑うケイを、あたしはきょとんとして見つめてしまう。
「え?これ・・・?ん?」
ちょっとだけ戸惑いながら、あたしは、ケイの手から紙バックを受け取って、中を見てみる・・・
「え・・・?えっ?えぇ!?」
あたしは、紙袋の中身と、笑ってるケイの顔を交互に見て、なんだかアタフタとしてしまった。
中に入っていたのは・・・
この間、あたしがケイに試着させてもらった、あの小花のワンピとボレロ丈のジャケット。
昨日、美保がお店に来たから、あたしは無駄にあたふたして、前金を入れ忘れてしまったのに・・・
今日の帰りに、前金をいれて取っておいてもらおうと思ってたのに・・・
なんで、今、こうやって渡されるのか、あたしは全然わからなくて、あたしは、ひたすら戸惑ってじーってケイの顔を見つめてしまう。
ケイは、そんなあたしの頭にぽんって手を置くと、こう言った。
「ああ、それ、プレゼント。誕生日だから特別な」
「え!!?いえ・・・あれ?!え??え??
いや、でも、これ・・・高いし!!」
思わずそう言ったあたしを見つめ返して、ケイは可笑しそうに笑った。
「プレゼントだって言ってんだから、素直にもらっておけ」
「ええ?で、でも!」
「誕生日に、スタッフに服プレゼントすんのは結構恒例。だからもらっとけ。
とりあえず、アヤ来るまでに着替えしとけよ」
ケイはそう言って、笑いながらあたしに背中を向けると、すうってドアを出ていってしまう。
あたしは、紙バックを持ったまま、すこしの間呆然として、締まるドアを見つめていた。
ケイ、行っちゃった・・・・
7万8000円の服、さらっとあたしに渡して・・・