BitteR SweeT StrawberrY
あたしは、しばらくその場で、ケイに悪いことしたなって、そんな風に考えこんだけど、これはケイからのプレゼントなんだって、実感してきて・・・
急に嬉しくなって、思わず、ぎゅって紙袋を抱き締めると、自然と笑顔になってしまった。
ケイが、着替えておけって言ったから、あたしは、その言葉通りに、服を着替えることにした。
背中が開きすぎてちょっと恥ずかしいけど、でも、やっぱり、その服は可愛くて、ジャケットを羽織って、鏡の前で裾と襟を整えて、あたしは、また一人で笑顔になってしまう。
真帆ちゃんも愛用の更衣室を出て、ふと、腕時計を見ると、5時10分前を差していた。
あたしは、テーブルの上の伝票を整えて退勤の準備をしていると、また、ストックヤードのドアが開いた。
「お疲れさま~!押野さ~ん、上がっていいよ~」
そう言って、ヤードの中に入ってきたのは、美容師さんのようなポーチを腰にさげた、遅番の彩さんだった。
「あ!お疲れさまで~す!はーい!上がりまーす!」
「おおおおお!押野さん可愛い~~~!いいね!似合うね!」
彩さんはそう言って、あたしの前に立つと、何故かに~って笑う。
「ちょっとそこに座って~」
「え?」
突然座れと言われたあたしは、一瞬きょとんとするけど、彩さんは、あたしの両肩をぐって抑えて、すとんってあたしを椅子に座らせてしまう。
「え??あれ??」
「優子を少しいじってやれって、ケイちゃんに言われたの」
彩さんはそう言って、腰に下げていたポーチから、何故か、メイク道具を取り出す。
「え?え??ど、どういう・・・」
「私ね、実は前、美容師やってたんだよね」
「え?そうなんですか??」
「うん。結婚する前の話しだけど」
彩さんはさらっとそう言って、にっこり笑った。
あたしは、彩さんが結婚してたなんて知らなくて、思い切り驚いて、まじまじと彩さんの顔をみてしまう。
「えぇ?!結婚してたんですか!?」
「そそ、もう離婚したけど!」
そう答えて、彩さんは、もう一度笑った。
あたしと同じ歳で・・・
離婚歴とか・・・
本当にこのお店のスタッフは、なんだか色々事情のある人が多いなって、あたしは、今更ながら思ってしまう。
彩さんは、戸惑ってるあたしに気付いているのかいないのか、慣れた手つきであたしにメイクを開始して、言葉を続けた。
「私、いわゆるデキ婚だったんだよね。
でもさ~結婚したのはいいんだけど、ろくでもない旦那でさ~!
浮気野朗の上に働かなくて、もう、ほんとこいつクズだって思って、子供が3歳になった時離婚したんだ」
「え?!じゃあ、今、一人でお子さん育ててるんですか!?」
「そだよ~、昼間は事務のパートして、夕方はここで働かせてもらってるんだ。
言ってなかったっけ?」
「は、初めて聞きました!」
「あ~そっか、まぁ、私と押野さん、微妙にシフトすれ違いだしね~」
「仕事してるとき、お子さんどうしてるんですか?!」
「平日は保育園いってるよ~。休日は、お母さんに看てもらってるかな。
うちの息子、4月から一年生になるんだよ~」
「え!??そんな大きいんですか!?」
「だよ~」
彩さんは、そう言ってまたあははって笑う。
あたしと同じ歳で、子供さんが小学校の一年生・・・
しかも、シングルマザーだなんて・・・
あたしは、結婚もしてないし、もちろん子供もいないから、彩さんの苦労がわかるかと言ったら、全然、わからないかもしれない。
でも、きっと、仕事を二つ掛け持ちしてるぐらいだから、生活は大変なんだろうなっていうのは判る。
あたしはまだ一人身だし、本職だけしてれば、生活は結構なんとなるし、こうやって、週末にちょっとバイトしてるのは、別にお金どうこうじゃなくて、ある意味での社会勉強だし。
でも、彩さんの場合は、きっと切実に、生活のためなんだろうなって、そう思った。
それを考えると、あたしって、ほんとに、苦労を知らない人間なんだな・・・
ずーっと、ぬるま湯の中で人生を送ってきた感じがする・・・
そうやって、ぬるくて甘ったれた人生を送ってきたから、いざって言うときに、全然、勇気がでないんだ・・・
こんなあたしでいいのかな・・・・
ううん・・・
きっと、いけないと思う・・・
あたしはこのままじゃ、絶対・・・
いけないと思う・・・
急に嬉しくなって、思わず、ぎゅって紙袋を抱き締めると、自然と笑顔になってしまった。
ケイが、着替えておけって言ったから、あたしは、その言葉通りに、服を着替えることにした。
背中が開きすぎてちょっと恥ずかしいけど、でも、やっぱり、その服は可愛くて、ジャケットを羽織って、鏡の前で裾と襟を整えて、あたしは、また一人で笑顔になってしまう。
真帆ちゃんも愛用の更衣室を出て、ふと、腕時計を見ると、5時10分前を差していた。
あたしは、テーブルの上の伝票を整えて退勤の準備をしていると、また、ストックヤードのドアが開いた。
「お疲れさま~!押野さ~ん、上がっていいよ~」
そう言って、ヤードの中に入ってきたのは、美容師さんのようなポーチを腰にさげた、遅番の彩さんだった。
「あ!お疲れさまで~す!はーい!上がりまーす!」
「おおおおお!押野さん可愛い~~~!いいね!似合うね!」
彩さんはそう言って、あたしの前に立つと、何故かに~って笑う。
「ちょっとそこに座って~」
「え?」
突然座れと言われたあたしは、一瞬きょとんとするけど、彩さんは、あたしの両肩をぐって抑えて、すとんってあたしを椅子に座らせてしまう。
「え??あれ??」
「優子を少しいじってやれって、ケイちゃんに言われたの」
彩さんはそう言って、腰に下げていたポーチから、何故か、メイク道具を取り出す。
「え?え??ど、どういう・・・」
「私ね、実は前、美容師やってたんだよね」
「え?そうなんですか??」
「うん。結婚する前の話しだけど」
彩さんはさらっとそう言って、にっこり笑った。
あたしは、彩さんが結婚してたなんて知らなくて、思い切り驚いて、まじまじと彩さんの顔をみてしまう。
「えぇ?!結婚してたんですか!?」
「そそ、もう離婚したけど!」
そう答えて、彩さんは、もう一度笑った。
あたしと同じ歳で・・・
離婚歴とか・・・
本当にこのお店のスタッフは、なんだか色々事情のある人が多いなって、あたしは、今更ながら思ってしまう。
彩さんは、戸惑ってるあたしに気付いているのかいないのか、慣れた手つきであたしにメイクを開始して、言葉を続けた。
「私、いわゆるデキ婚だったんだよね。
でもさ~結婚したのはいいんだけど、ろくでもない旦那でさ~!
浮気野朗の上に働かなくて、もう、ほんとこいつクズだって思って、子供が3歳になった時離婚したんだ」
「え?!じゃあ、今、一人でお子さん育ててるんですか!?」
「そだよ~、昼間は事務のパートして、夕方はここで働かせてもらってるんだ。
言ってなかったっけ?」
「は、初めて聞きました!」
「あ~そっか、まぁ、私と押野さん、微妙にシフトすれ違いだしね~」
「仕事してるとき、お子さんどうしてるんですか?!」
「平日は保育園いってるよ~。休日は、お母さんに看てもらってるかな。
うちの息子、4月から一年生になるんだよ~」
「え!??そんな大きいんですか!?」
「だよ~」
彩さんは、そう言ってまたあははって笑う。
あたしと同じ歳で、子供さんが小学校の一年生・・・
しかも、シングルマザーだなんて・・・
あたしは、結婚もしてないし、もちろん子供もいないから、彩さんの苦労がわかるかと言ったら、全然、わからないかもしれない。
でも、きっと、仕事を二つ掛け持ちしてるぐらいだから、生活は大変なんだろうなっていうのは判る。
あたしはまだ一人身だし、本職だけしてれば、生活は結構なんとなるし、こうやって、週末にちょっとバイトしてるのは、別にお金どうこうじゃなくて、ある意味での社会勉強だし。
でも、彩さんの場合は、きっと切実に、生活のためなんだろうなって、そう思った。
それを考えると、あたしって、ほんとに、苦労を知らない人間なんだな・・・
ずーっと、ぬるま湯の中で人生を送ってきた感じがする・・・
そうやって、ぬるくて甘ったれた人生を送ってきたから、いざって言うときに、全然、勇気がでないんだ・・・
こんなあたしでいいのかな・・・・
ううん・・・
きっと、いけないと思う・・・
あたしはこのままじゃ、絶対・・・
いけないと思う・・・