BitteR SweeT StrawberrY
*
お店の外に出ても、ケイはずっとあたしの手を握ってくれていた。
あたしの目の前で、ケイの羽織るトレンチコートの裾がふわっと揺れる。
後ろから見たら、ほんとに、普通のカップルに見えるだろうな・・・
すれ違っても、きっと、ケイが男の人か女の人か、一瞬見ただけじゃわからないだろうから、例えあたしとこうやって手を繋いで歩いていても、周りの人は、違和感なんて感じないかもしれない。
むしろ、そんなことを気にしてるのは、多分、あたし自身なんだと思う。
でも、女が女と手を繋いで歩いて一体何が悪いの?って、そういう開き直りが、あたしの心の中に沸いてきているのも事実で・・・
ほんの少しだけ、あたしは、あたしを褒めてあげたくなった。
だってあたしは・・・
やっぱりケイが好きで・・・
こうやって、手を繋いで歩いてもらえて・・・
あたしは、とっても嬉しくて・・・
なんだか幸せで・・・
今日が、誕生日だから、そんな日にこうやって一緒に歩けて・・・
余計に嬉しくて・・・
あたしは自然と、意識もせずに笑っていた。
「ねぇ、ケイ?これからどこ行くの?」
あたしの手を引いて、一歩先を歩くケイにそう聞くと、ケイは、ゆっくりとあたしを振り返って、唇だけで微笑する。
「んー?台場かな」
「え?!」
「たまにはホテルのレストランとか、いいかなってさ」
「あぅ・・・あたし、そんなとこ行きなれてないから、だ、大丈夫かな!?」
「どういう反応だよ!大丈夫ってなにが?」
ケイはそう言って、あははって可笑しそうに笑った。
あたしは、なんだかどぎまぎしながら、しどろもどろと答えて言う。
「えっ、だって、ほら、あたし・・・ものすごく庶民だから・・・なんか、無駄に緊張とかしちゃうし!」
「なにそれ?!おまえ、時々変なこと言うよな?
庶民でもセレブでも、ホテルにしてみりゃ客は客!
一体何をそんなに心配してんの?」
ケイはますます可笑しそうに笑って、綺麗な瞳を軽く細める。
あたしは、そんなケイの、どことなく色っぽい眼差しに照れてしまって、またしてもうつむくのだった。
「うーん・・・行き慣れてないと、何かが不安・・・?」
「じゃあ、行き慣れるぐらい金持ちになればいいだけだよ!」
冗談ぽくそう言って、ケイは、あははって笑った。
「なにそれ!?簡単そうですごく難しいって!」
あたしは、そんなケイの笑顔に釣られて、一緒になってあははって笑ってしまう。
ほんとに、これはまっるきりのデートだ。
おろしたての服の匂いと、ケイのつけた香水の甘い香りが、あたっかい風に乗って、あたしの鼻をくすぐっていた。
色んな才能とカリスマを持ったケイは、こんな平凡でなんの取り得もないあたしを、「好き」だって言ってくれた。
その「好き」にはどんな意味が含まれてるのか、あたしは、未だにわからないけど、こうやって繋いでくれる手が、なんとなく「優子のことは大事なんだよ」って言ってくれてるみたいで・・・
あたしは、ほんとに嬉しくて、幸せで・・・
もしかすると、あたしの26年の人生の中で、この時が一番、幸せだって思える瞬間だったのかもしれない。
ケイは男の人みたいだけど、女の人。
でも、そんなこと、もうどうでもいいなって、あたしはそう思って、温かなケイの手をぎゅうって握り返したのだった。
それに答えるみたいに、ケイの手が、あたしの手をぎゅうって握り返してくれる。
あたしは、その手を離したくなくて、ずっと、この時間が続けばいいって、そう、思ってた・・・
お店の外に出ても、ケイはずっとあたしの手を握ってくれていた。
あたしの目の前で、ケイの羽織るトレンチコートの裾がふわっと揺れる。
後ろから見たら、ほんとに、普通のカップルに見えるだろうな・・・
すれ違っても、きっと、ケイが男の人か女の人か、一瞬見ただけじゃわからないだろうから、例えあたしとこうやって手を繋いで歩いていても、周りの人は、違和感なんて感じないかもしれない。
むしろ、そんなことを気にしてるのは、多分、あたし自身なんだと思う。
でも、女が女と手を繋いで歩いて一体何が悪いの?って、そういう開き直りが、あたしの心の中に沸いてきているのも事実で・・・
ほんの少しだけ、あたしは、あたしを褒めてあげたくなった。
だってあたしは・・・
やっぱりケイが好きで・・・
こうやって、手を繋いで歩いてもらえて・・・
あたしは、とっても嬉しくて・・・
なんだか幸せで・・・
今日が、誕生日だから、そんな日にこうやって一緒に歩けて・・・
余計に嬉しくて・・・
あたしは自然と、意識もせずに笑っていた。
「ねぇ、ケイ?これからどこ行くの?」
あたしの手を引いて、一歩先を歩くケイにそう聞くと、ケイは、ゆっくりとあたしを振り返って、唇だけで微笑する。
「んー?台場かな」
「え?!」
「たまにはホテルのレストランとか、いいかなってさ」
「あぅ・・・あたし、そんなとこ行きなれてないから、だ、大丈夫かな!?」
「どういう反応だよ!大丈夫ってなにが?」
ケイはそう言って、あははって可笑しそうに笑った。
あたしは、なんだかどぎまぎしながら、しどろもどろと答えて言う。
「えっ、だって、ほら、あたし・・・ものすごく庶民だから・・・なんか、無駄に緊張とかしちゃうし!」
「なにそれ?!おまえ、時々変なこと言うよな?
庶民でもセレブでも、ホテルにしてみりゃ客は客!
一体何をそんなに心配してんの?」
ケイはますます可笑しそうに笑って、綺麗な瞳を軽く細める。
あたしは、そんなケイの、どことなく色っぽい眼差しに照れてしまって、またしてもうつむくのだった。
「うーん・・・行き慣れてないと、何かが不安・・・?」
「じゃあ、行き慣れるぐらい金持ちになればいいだけだよ!」
冗談ぽくそう言って、ケイは、あははって笑った。
「なにそれ!?簡単そうですごく難しいって!」
あたしは、そんなケイの笑顔に釣られて、一緒になってあははって笑ってしまう。
ほんとに、これはまっるきりのデートだ。
おろしたての服の匂いと、ケイのつけた香水の甘い香りが、あたっかい風に乗って、あたしの鼻をくすぐっていた。
色んな才能とカリスマを持ったケイは、こんな平凡でなんの取り得もないあたしを、「好き」だって言ってくれた。
その「好き」にはどんな意味が含まれてるのか、あたしは、未だにわからないけど、こうやって繋いでくれる手が、なんとなく「優子のことは大事なんだよ」って言ってくれてるみたいで・・・
あたしは、ほんとに嬉しくて、幸せで・・・
もしかすると、あたしの26年の人生の中で、この時が一番、幸せだって思える瞬間だったのかもしれない。
ケイは男の人みたいだけど、女の人。
でも、そんなこと、もうどうでもいいなって、あたしはそう思って、温かなケイの手をぎゅうって握り返したのだった。
それに答えるみたいに、ケイの手が、あたしの手をぎゅうって握り返してくれる。
あたしは、その手を離したくなくて、ずっと、この時間が続けばいいって、そう、思ってた・・・