BitteR SweeT StrawberrY
*
ホテルのレストランの窓辺から、キラキラと輝くレインボーブリッジが見える。
時間がまだ少し早いのか、レストランにはまあまりお客さんもいなくて、関節照明と蝋燭だけが灯った店内は、クラシックが流れるだけのすごく静かな空間だった。
ホテルのレストランなんて、ましてや、こんな雰囲気の中で食事とか、ほんとに、滅多にないから、あたしは、変に緊張して、目の前でケイがあたしを見つめるから、なんだか照れてしまって、どことなく挙動不審だったり・・・
ケイは、そんなあたしの向かいに座って、頬杖をつきながら、なんだか、珍しい動物でも見るような目つきをして、くすくすと笑った。
「なにもそこまで緊張することもないのに」
「えぇ・・・だ、だってぇ」
あたしは、なんだか赤くなってしまって、上目遣いでちらっとケイと見ると、もじもじしながら、言葉を続けた。
「あ、あの・・・この服、ありがとう。さっきはなんかびっくりしちゃって、ちゃんとお礼言ってなかったよね・・・?」
「ああ・・・それも気にすることないのに。まぁ、そういうとこが優子らしい優子なとこだけど」
ケイはそう答えて柔らかく笑う。
あたしは、そんなケイの顔を相変わらずの上目遣いで見ながら、なんだか、えへへって笑ってしまう。
「ケイに、優子らしい優子なとこ・・とか言われると、なんか、ちょっとだけ嬉しいとか・・・
あたし、変だよね」
「んー?なんで?」
「え・・・うーん、なんとなく?」
「変なやつ」
「そうかな?」
「うん。まぁ、そういうとこが、優子の可愛いとこだけど」
「え?!」
あたしがそう言われて、思い切り顔を赤くした時、レストランのエントランスから、誰かお客さんが入ってきたみたいだった。
少し離れたところで、女の子の黄色い笑い声が聞こえてくる。
なんだろう・・・?ってあたしが振り返りかけたとき、すっとギャルソンさんがやってきて、あたしとケイに前に、前菜の皿を丁寧に置いた。
綺麗に盛り付けられて、レモンのいい香りのするドレッシングがかかった、お魚のマリネ。
「あは・・・おいしそうっ」
あたしは思わず、目をきらきらと輝かせてしまう。
オードブル用のナイフとフォークを手にとったあたしを、眺めながら、ケイはくすくすと笑った。
でも、その時、ケイはふと、横を向いて、けほっけほって、小さな咳をする。
なんだか、乾いたような変な咳・・・あたしは心配になって、こう聞いてみた。
「風邪でもひいたの??大丈夫?」
「ああ・・・大丈夫、ごめん。気にしなくていいから、食べな」
「う、うん。ケイは食べないの?」
「ん?いや、食べるよ」
そう言ってケイは、小さく笑うと、ナイフとフォークを取る。
あたしは、オードブルに手をつけながら、そんなケイの顔をちらっと見た。
間接照明と蝋燭だけが照らすレストランは、ちょっと暗くて、今まで、気付けなかったけど、ケイ・・・少し顔色が、悪いかもしれない。
「大丈夫?」って、あたしが、そう聞こうとした時だった、あたしの後ろの席に案内されたお客さんの一人が、やけに黄色い声で、こう言ってるのが聞こえてきた。
「おおお!ここすごっ!あたしぃ、此処、一度来てみたかったんだよねぇ!
お客にねだってもさぁ、み~んな財布が寂しいみたいでさぁ、なかなか連れてってくんないんだよねぇ!」
このレストランの雰囲気には似合わないような、やけに賑やかな声だった。
ケイの目が、あたしの肩越しから、ちらっとその声の主を見て、なんだか不愉快そうな顔つきをした。
ホテルのレストランの窓辺から、キラキラと輝くレインボーブリッジが見える。
時間がまだ少し早いのか、レストランにはまあまりお客さんもいなくて、関節照明と蝋燭だけが灯った店内は、クラシックが流れるだけのすごく静かな空間だった。
ホテルのレストランなんて、ましてや、こんな雰囲気の中で食事とか、ほんとに、滅多にないから、あたしは、変に緊張して、目の前でケイがあたしを見つめるから、なんだか照れてしまって、どことなく挙動不審だったり・・・
ケイは、そんなあたしの向かいに座って、頬杖をつきながら、なんだか、珍しい動物でも見るような目つきをして、くすくすと笑った。
「なにもそこまで緊張することもないのに」
「えぇ・・・だ、だってぇ」
あたしは、なんだか赤くなってしまって、上目遣いでちらっとケイと見ると、もじもじしながら、言葉を続けた。
「あ、あの・・・この服、ありがとう。さっきはなんかびっくりしちゃって、ちゃんとお礼言ってなかったよね・・・?」
「ああ・・・それも気にすることないのに。まぁ、そういうとこが優子らしい優子なとこだけど」
ケイはそう答えて柔らかく笑う。
あたしは、そんなケイの顔を相変わらずの上目遣いで見ながら、なんだか、えへへって笑ってしまう。
「ケイに、優子らしい優子なとこ・・とか言われると、なんか、ちょっとだけ嬉しいとか・・・
あたし、変だよね」
「んー?なんで?」
「え・・・うーん、なんとなく?」
「変なやつ」
「そうかな?」
「うん。まぁ、そういうとこが、優子の可愛いとこだけど」
「え?!」
あたしがそう言われて、思い切り顔を赤くした時、レストランのエントランスから、誰かお客さんが入ってきたみたいだった。
少し離れたところで、女の子の黄色い笑い声が聞こえてくる。
なんだろう・・・?ってあたしが振り返りかけたとき、すっとギャルソンさんがやってきて、あたしとケイに前に、前菜の皿を丁寧に置いた。
綺麗に盛り付けられて、レモンのいい香りのするドレッシングがかかった、お魚のマリネ。
「あは・・・おいしそうっ」
あたしは思わず、目をきらきらと輝かせてしまう。
オードブル用のナイフとフォークを手にとったあたしを、眺めながら、ケイはくすくすと笑った。
でも、その時、ケイはふと、横を向いて、けほっけほって、小さな咳をする。
なんだか、乾いたような変な咳・・・あたしは心配になって、こう聞いてみた。
「風邪でもひいたの??大丈夫?」
「ああ・・・大丈夫、ごめん。気にしなくていいから、食べな」
「う、うん。ケイは食べないの?」
「ん?いや、食べるよ」
そう言ってケイは、小さく笑うと、ナイフとフォークを取る。
あたしは、オードブルに手をつけながら、そんなケイの顔をちらっと見た。
間接照明と蝋燭だけが照らすレストランは、ちょっと暗くて、今まで、気付けなかったけど、ケイ・・・少し顔色が、悪いかもしれない。
「大丈夫?」って、あたしが、そう聞こうとした時だった、あたしの後ろの席に案内されたお客さんの一人が、やけに黄色い声で、こう言ってるのが聞こえてきた。
「おおお!ここすごっ!あたしぃ、此処、一度来てみたかったんだよねぇ!
お客にねだってもさぁ、み~んな財布が寂しいみたいでさぁ、なかなか連れてってくんないんだよねぇ!」
このレストランの雰囲気には似合わないような、やけに賑やかな声だった。
ケイの目が、あたしの肩越しから、ちらっとその声の主を見て、なんだか不愉快そうな顔つきをした。