BitteR SweeT StrawberrY
「?」
「デザート、食い損ねただろ?」
そう言って笑うと、ケイは、箱を挟んであたしの隣に座り、それを開けて中身を出す。
「うわぁ・・・」
そこに現れたのは、ミニサイズだけど、ぎっしりと苺が乗ったストロベリータルトだった。
ストロベリーとカスタードのいい香りがする。
「おいしそう・・・」
あたしは、ぐずぐずと鼻をすすりながら、未だに泣き止めないまま、思わず笑ってしまった。
ケイは、コートのポッケからライターと、細長い蝋燭を一本、そして、どこで買ってきたのか、二本のフォークを出して、もう一度にこって笑う。
蝋燭を小さなタルトの中心に刺して、手で風除けをしながら火をつける。
「ほんとは生クリームのケーキがよかったんだけど・・・売り切れだったから。
とりあえず、バースデイケーキの代りってことで」
「あ・・・ありがとう・・・うん、嬉しい・・・ありがとう・・・」
あたしは、すっかり泣き笑い状態になって、涙を拭いながら、ケイの笑顔を見つめた。
ケイの態度はいつもの変わらない、あたしに変な気を使ってる様子もない。
でも、きっとこのタルトは、あたしを励ましてくれるつもりで、買ってきてくれたんだなって・・・
その優しさが、あたしには、嬉しくて・・・
あたしは、笑いながら、泣きっぱなしになってしまった。
そんなあたしにケイは笑う。
「蝋燭消して」
あたしは、こくんって頷いて、風除けをしてくれてるケイの手の上から、ふぅって息を吹きかけて、蝋燭を消した。
するとケイは、フォークの一本をあたしに差し出して、またにこって笑う。
「どうぞ」
「あはっ、ありがとう・・・いただきまーす」
あたしは、フォークを持って、ぎっしり乗った苺の一つを取ると、それを口に運んだ。
口の中にふわっと広がる苺の味と、カスタードの味。
「おいしい・・っ!」
あたしはそう言って、ぽろぽろと涙を零したまま、ケイの顔をじーっと見つめてしまう。
ケイは、そんなあたしにすぅって手を伸ばして、あたしの肩を抱き寄せると、おでこにおでこをコツンてぶつけながら、柔らかく笑った。
あたしは、子供みたいに、フォークを口にくわえたまま、もう我慢できなくなって、思い切り・・・泣いてしまった。
「うぅ・・うぅっ・・うぅ・・・」
止めようと思っても、涙は全然止まらなくて、あたしは、肩を震わせて、行き場のなくなった感情を吐き出すように、しばらく、泣き続けていた。
「あたしっ・・・あたしっ・・・悔しいよぉ・・・っ」
嗚咽の中から、やっと出た言葉その言葉で、その悔しいの中には、ほんとに色んな悔しいが詰まっていて、どれから説明すればいいかもわからなくて、あたしは、そのまま黙ってしまう。
大輔にあんな風に言われて、あたしは、女としてとんでもない侮辱を受けて、それも悔しかったし、大輔にあんな顔があったなんて気付かなくて、そんなこともわからないまま、3年も過ごしてしてきてしまったことも、すごく悔しくて。
それより何より、ほんの少しでも、あんな大輔とケイを天秤にかけてしまった自分が、悔しくて・・・
情けなくて・・・
涙なんて止まらなかった。
「デザート、食い損ねただろ?」
そう言って笑うと、ケイは、箱を挟んであたしの隣に座り、それを開けて中身を出す。
「うわぁ・・・」
そこに現れたのは、ミニサイズだけど、ぎっしりと苺が乗ったストロベリータルトだった。
ストロベリーとカスタードのいい香りがする。
「おいしそう・・・」
あたしは、ぐずぐずと鼻をすすりながら、未だに泣き止めないまま、思わず笑ってしまった。
ケイは、コートのポッケからライターと、細長い蝋燭を一本、そして、どこで買ってきたのか、二本のフォークを出して、もう一度にこって笑う。
蝋燭を小さなタルトの中心に刺して、手で風除けをしながら火をつける。
「ほんとは生クリームのケーキがよかったんだけど・・・売り切れだったから。
とりあえず、バースデイケーキの代りってことで」
「あ・・・ありがとう・・・うん、嬉しい・・・ありがとう・・・」
あたしは、すっかり泣き笑い状態になって、涙を拭いながら、ケイの笑顔を見つめた。
ケイの態度はいつもの変わらない、あたしに変な気を使ってる様子もない。
でも、きっとこのタルトは、あたしを励ましてくれるつもりで、買ってきてくれたんだなって・・・
その優しさが、あたしには、嬉しくて・・・
あたしは、笑いながら、泣きっぱなしになってしまった。
そんなあたしにケイは笑う。
「蝋燭消して」
あたしは、こくんって頷いて、風除けをしてくれてるケイの手の上から、ふぅって息を吹きかけて、蝋燭を消した。
するとケイは、フォークの一本をあたしに差し出して、またにこって笑う。
「どうぞ」
「あはっ、ありがとう・・・いただきまーす」
あたしは、フォークを持って、ぎっしり乗った苺の一つを取ると、それを口に運んだ。
口の中にふわっと広がる苺の味と、カスタードの味。
「おいしい・・っ!」
あたしはそう言って、ぽろぽろと涙を零したまま、ケイの顔をじーっと見つめてしまう。
ケイは、そんなあたしにすぅって手を伸ばして、あたしの肩を抱き寄せると、おでこにおでこをコツンてぶつけながら、柔らかく笑った。
あたしは、子供みたいに、フォークを口にくわえたまま、もう我慢できなくなって、思い切り・・・泣いてしまった。
「うぅ・・うぅっ・・うぅ・・・」
止めようと思っても、涙は全然止まらなくて、あたしは、肩を震わせて、行き場のなくなった感情を吐き出すように、しばらく、泣き続けていた。
「あたしっ・・・あたしっ・・・悔しいよぉ・・・っ」
嗚咽の中から、やっと出た言葉その言葉で、その悔しいの中には、ほんとに色んな悔しいが詰まっていて、どれから説明すればいいかもわからなくて、あたしは、そのまま黙ってしまう。
大輔にあんな風に言われて、あたしは、女としてとんでもない侮辱を受けて、それも悔しかったし、大輔にあんな顔があったなんて気付かなくて、そんなこともわからないまま、3年も過ごしてしてきてしまったことも、すごく悔しくて。
それより何より、ほんの少しでも、あんな大輔とケイを天秤にかけてしまった自分が、悔しくて・・・
情けなくて・・・
涙なんて止まらなかった。