BitteR SweeT StrawberrY
ケイは、そんなあたしの視線を真っ直ぐに受け止めて、小さく首を傾げながら唇だけで微笑した。
あたしは、ちょっとだけ甘えたくなって、ケイの肩にもたれながら、言葉を続ける。
「あたしは・・・ほんとにぬるま湯の生活してきたから、ぬるま湯に慣れてて、このままぬるま湯でいいかなって、どっかで思ってたんだと思う。
でも、なんか、今日のあれで・・・もう少し、よく人を見ないとって・・・
もっと社会勉強しないとなって・・・思ったよ」
「そうか」
「うん・・・もうちょっと、ちゃんと自己主張できるようにならないと」
「そうだな」
「うん。賢くてカッコイイ女になりたいな・・・ケイみたいに」
「なんだそれ?」
「ん?だって・・・こう言ったらなんだけど、さっきのケイはカッコよかった。
ばしって的を射たこと言って、大輔を黙らせて。
あたしにはできないなって・・・
でも、そのうち・・・ケイみたいになりたいなって」
「よくわかんないけど・・・そうなのか?」
「そうだよ~・・・あたしは・・・」
そこで一端言葉を切って、あたしは、ケイの顔を見つめたまま、大きく深呼吸した。
ケイは、不思議そうに首を傾げて、そんなあたしを、まじまじと見る。
「うん?」
「あたしはやっぱり・・・・」
「うん」
「ケイのことがすごく好き・・・・色んな意味で、好き・・・・
だから、もう、大ちゃんなんかに・・・構ってられない・・・
ケイにとっては迷惑かもしれないけど・・・
こんなの、やっぱりどこかおかしいかもしれないけど・・・
あたし・・・ずっと・・・ケイのこと・・・
見てたい・・・の」
そこまで言って、あたしは、ぱっとケイから目を逸らして、うつむいた。
ケイがどんな顔するか、少し怖くなったから、なるべく、ケイの表情が見えないようにして、ケイの言葉を待ってみた。
びゅーって海風が鳴って、少し間の沈黙を浚っていくみたいに、あたしとケイの間を通り過ぎていく。
ケイは何も言わずに、うつむくあたしの髪を撫でてから、くいってあたしの顎を摘むと、不安そうなあたしの顔を自分に向き直らせて、小さく笑った。
柔らかな笑顔だった・・・
でも、どこか切なそうな笑顔だった・・・
「優子・・・実はな・・・」
ケイはそこまで言いかけて、言葉を止めた。
まっすぐな瞳が、あたしの瞳を見つめている。
ケイの瞳に映るあたしの顔は、すごく不安そうだった。
すごく不安だけど、あたしは、ケイの言葉の続きを、もう一度待った。
また、びゅ~って音を立てて、海風が、あたしとケイの間を通り過ぎていく。
丁度、その時だった・・・
ケイが、不意に横を向いて、また、けほって咳をする。
「あ・・・大丈夫・・・?」
あたしは、そんなケイの肩に手を乗せる。
けほっけほっていう、乾いたケイの咳は、何故か止まらなかった。
「大丈夫?」
ケイは、そんなあたしに、大丈夫だよって言うように、軽く片手を上げてみせるけど、それでも、咳は止まらない。
そのうちに、ケイの顔色はみるみる悪くなっていく。
「ケイ?どうしたの?大丈夫っ?」
ケイは、綺麗な眉間にしわを寄せて、片手で胸元を抑える。
痛みでもあるのか、ぎゅって服を掴むようにして、ケイの体はぐらって前に倒れこんだ。
あたしは、ハッとして両手を伸ばして、その体を抱きとめる。
「ケイ?大丈夫!?どうしたの!?」
段々・・・ケイの呼吸が荒くなっていくのがわかる。
背中が大きく上下して、ますます顔色は悪くなるばかり。
これはただ事じゃないって気付いたあたしは、ケイの体を抱きとめたまま、周りに誰かいないか、思い切り焦りながら、きょろきょろと見回した。
その間にも、ケイの呼吸はどんどん乱れて、綺麗な頬が白くなってきて、唇が、紫色になっていく。
チアノーゼだ!
あたしは、ちょっとだけ甘えたくなって、ケイの肩にもたれながら、言葉を続ける。
「あたしは・・・ほんとにぬるま湯の生活してきたから、ぬるま湯に慣れてて、このままぬるま湯でいいかなって、どっかで思ってたんだと思う。
でも、なんか、今日のあれで・・・もう少し、よく人を見ないとって・・・
もっと社会勉強しないとなって・・・思ったよ」
「そうか」
「うん・・・もうちょっと、ちゃんと自己主張できるようにならないと」
「そうだな」
「うん。賢くてカッコイイ女になりたいな・・・ケイみたいに」
「なんだそれ?」
「ん?だって・・・こう言ったらなんだけど、さっきのケイはカッコよかった。
ばしって的を射たこと言って、大輔を黙らせて。
あたしにはできないなって・・・
でも、そのうち・・・ケイみたいになりたいなって」
「よくわかんないけど・・・そうなのか?」
「そうだよ~・・・あたしは・・・」
そこで一端言葉を切って、あたしは、ケイの顔を見つめたまま、大きく深呼吸した。
ケイは、不思議そうに首を傾げて、そんなあたしを、まじまじと見る。
「うん?」
「あたしはやっぱり・・・・」
「うん」
「ケイのことがすごく好き・・・・色んな意味で、好き・・・・
だから、もう、大ちゃんなんかに・・・構ってられない・・・
ケイにとっては迷惑かもしれないけど・・・
こんなの、やっぱりどこかおかしいかもしれないけど・・・
あたし・・・ずっと・・・ケイのこと・・・
見てたい・・・の」
そこまで言って、あたしは、ぱっとケイから目を逸らして、うつむいた。
ケイがどんな顔するか、少し怖くなったから、なるべく、ケイの表情が見えないようにして、ケイの言葉を待ってみた。
びゅーって海風が鳴って、少し間の沈黙を浚っていくみたいに、あたしとケイの間を通り過ぎていく。
ケイは何も言わずに、うつむくあたしの髪を撫でてから、くいってあたしの顎を摘むと、不安そうなあたしの顔を自分に向き直らせて、小さく笑った。
柔らかな笑顔だった・・・
でも、どこか切なそうな笑顔だった・・・
「優子・・・実はな・・・」
ケイはそこまで言いかけて、言葉を止めた。
まっすぐな瞳が、あたしの瞳を見つめている。
ケイの瞳に映るあたしの顔は、すごく不安そうだった。
すごく不安だけど、あたしは、ケイの言葉の続きを、もう一度待った。
また、びゅ~って音を立てて、海風が、あたしとケイの間を通り過ぎていく。
丁度、その時だった・・・
ケイが、不意に横を向いて、また、けほって咳をする。
「あ・・・大丈夫・・・?」
あたしは、そんなケイの肩に手を乗せる。
けほっけほっていう、乾いたケイの咳は、何故か止まらなかった。
「大丈夫?」
ケイは、そんなあたしに、大丈夫だよって言うように、軽く片手を上げてみせるけど、それでも、咳は止まらない。
そのうちに、ケイの顔色はみるみる悪くなっていく。
「ケイ?どうしたの?大丈夫っ?」
ケイは、綺麗な眉間にしわを寄せて、片手で胸元を抑える。
痛みでもあるのか、ぎゅって服を掴むようにして、ケイの体はぐらって前に倒れこんだ。
あたしは、ハッとして両手を伸ばして、その体を抱きとめる。
「ケイ?大丈夫!?どうしたの!?」
段々・・・ケイの呼吸が荒くなっていくのがわかる。
背中が大きく上下して、ますます顔色は悪くなるばかり。
これはただ事じゃないって気付いたあたしは、ケイの体を抱きとめたまま、周りに誰かいないか、思い切り焦りながら、きょろきょろと見回した。
その間にも、ケイの呼吸はどんどん乱れて、綺麗な頬が白くなってきて、唇が、紫色になっていく。
チアノーゼだ!