BitteR SweeT StrawberrY
ああ、この人は・・・
ほんとに、まだ、ケイのことを・・・
すごく好きなんだなって・・・

「佐野さんとケイって・・・」

「うん?」

「付き合ってたんですよね・・・?」

「ああ、そうだな」

「今は・・・・付き合ってないん・・・ですか?」

「なんで?」

「いや・・・だって・・・

佐野さん、ケイの身元引受人だし・・・
付き合ってもないのに・・・そういうこと・・・するのかなって・・・」
あたしが、しどろもどろになってそう聞くと、佐野さんは、ゆっくりとあたしに振り返りながら、何故か、切なそうに唇だけ笑う。

「なんていうかな・・・相棒なんだよ。もうずっと。
付き合う付き合わない以前の問題って言うんかな?
惚れた晴れたは抜きにしても、アイツは、やっぱ俺の相棒だからな。
元々、仕事の相方だったからかもしれないけど、恋人云々抜きにしても、アイツとは関わってたいっていう・・・
天涯孤独なのは知ってるし、アイツは、誰も頼る人間がいないから・・・
カッコつけてまとめるなら、せめて俺ぐらい、アイツの支えなりたいっていうの?」

「・・・・・・きっと、頼ってると思います・・・・
きっとあたしは、佐野さんには敵わないんです・・・
でも、敵わないのは判ってるけど・・・
あたしなりに・・・ケイの力になれればって・・・
今、そう思ってます・・・」

無意識のうちに、勝手に口から、そんな言葉がでてしまった。
自分でも、なんだか驚くようなことを言ってしまったと、あたしは、次の瞬間、カーって顔を赤くする。
そんなあたしを、感心したような視線で見つめながら、佐野さんは、やけに穏やかな表情をした。

「ほんとに、よく調教されてるよ、おまえはさ」

「ちょ、調教とか!や、やめてくださいよぉ・・・」
「そういうのってさ、優子の本質なんだと思うぞ。
やる気になればできる子ってことだな」

「なんですかそれ?!」

「弱そうに見えて、実は中身強いんだよ、おまえは・・・」

「そ、そんなこともない・・・ですけど・・・」

「いや、そんなことあるんだよ」

佐野さんはそう言って、柔らかく笑った。
こういう笑い方も、なんだかケイに似てるなって、あたしはしみじみ思ってしまう。

きっと、佐野さんとケイは、似たもの同士なんだなって・・・
価値観が似てるから、例え恋人関係を解除したとしても・・・
こんな風にお互いを認め合える仲なんだなって・・・

それに気付いたあたしは、そんな二人が、すごく、羨ましくなった。
やっぱり、あたしは、ケイと佐野さんの絆には、割り込めないのかもしれない・・・
でも・・・
あたしはあたしなりに・・・・
ケイの支えになりたいって・・・
本気で、そう思った。



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