BitteR SweeT StrawberrY
*
あたしの誕生日は、ある意味、散々な日だった。
大輔の浮気現場を目撃した上に、ケイが倒れてしまったり・・・
でも、こう言ったらなんだけど、そうやって色々あったからこそ、自分の気持ちに区切りがつきそう。
あたしは一度家に戻り、お風呂に入って、着替えをして、佐野さんから預かった合鍵でケイの部屋に入って、とりあえず、着替えとか必要なものを病院にもっていくことにした。
佐野さんが、ケイの部屋の合鍵を持っていたことには・・・ちょっとびっくりした。
微妙にショックを受けてへこんだけど、佐野さんは、ケイの身元引受人だし・・・それもしょうがないかなって、自分を納得させることにした。
病院に戻った時、ケイは、看護士さんやお医者さんがびっくりするほど回復していた。
酸素マスクが邪魔だからって外してしまっても、結構というか・・・
全然平気そうで・・・
ベットから起き上がることもできていて、なんだか、昨夜の具合の悪さが嘘みたいだった。
午後には、ICUから一般病棟に移るらしい。
午前中の診察で、一応の治療計画も決めてきたらしいし、取りあえず、一週間ほどの入院で済みそうだということだった・・・
ほんとに、それで退院してしまっても大丈夫なのかなって、あたしは思ったんだけど、ケイはどうしても、仕事に戻りたかったらしく、ちゃんと通院するからと言って、お医者さんを振り切ったらしい。
「優子、屋上行くか?」
病室でケイにそう言われて、あたしはびっくりして、きょとんとケイの顔を見つめてしまった。
ケイは、おかしそうに笑って、「また動いたらダメですよ!」って止めにきた看護士さんまで振り切って、あたしを連れて・・・・病院の屋上にやってきてしまった。
「もぉ・・・大丈夫なの?看護士さん怒ってたよ?ケイ、昨夜、死に掛けたんだよ?
あんまり動くと・・・また倒れちゃうよ?」
春らしいあったかい風が吹き抜ける屋上のベンチで、あたしは、隣に座っているケイにそう言うと、血色の良くなったケイの綺麗な顔をまじまじと見た。
ケイは、パジャマ姿のまま、あははって笑って、よく晴れた空を見上げる。
「だって暇じゃん?入院とか嫌なんだよ、自由がないから」
「いや、確かに自由はないかもしれないけど・・・無理したら、また・・・」
「心配性だな?優子は?」
「心配性とか!心配性じゃないとか!そういう問題じゃないよ!」
思わずムキになってそう言ったあたしを横目で見て、ケイは、愉快そうな顔つきでもう一度笑う。
「怒るなよ」
「怒るよ!」
「大丈夫だよ、ちゃんと治療は受けるからさ」
「あたり前だよ!」
「抗がん剤は嫌なんだけどな・・・まだ放射線のがまし・・・」
「そんなこと言ったって、そうしないと・・・」
「うん、わかってるよ」
ケイはそう言って、唇だけで小さく笑う。
あたしは、そんなケイの横顔を見つめながら、あえて笑顔でしてこう言ってみた。
「ケイが具合悪いと思って、会社さぼったのに、結構元気なんだもん。
インフルだって言っちゃったから、4日ぐらい暇だぁ~
毎日ケイのとこ通っちゃおうかな!」
「別に泊まってもいいけど?どうせ特別室だし」
「は!?なにそれ!?っていうか特別室とか!そんなのあるの!?」
「あるよ。ほら、有名人とかさ政治家とかさ、入院するときもあるだろ?
ここ大学病院だし、そういう病室もあるって訳」
「高いじゃん!」
「高いよ。でも、相部屋で、隣のベッドで誰かに唸られてても落ち着かないしな」
ケイは、冗談ぽくそう言って笑う。
あたしはきょとんとして、思わずこう言ってしまった。
あたしの誕生日は、ある意味、散々な日だった。
大輔の浮気現場を目撃した上に、ケイが倒れてしまったり・・・
でも、こう言ったらなんだけど、そうやって色々あったからこそ、自分の気持ちに区切りがつきそう。
あたしは一度家に戻り、お風呂に入って、着替えをして、佐野さんから預かった合鍵でケイの部屋に入って、とりあえず、着替えとか必要なものを病院にもっていくことにした。
佐野さんが、ケイの部屋の合鍵を持っていたことには・・・ちょっとびっくりした。
微妙にショックを受けてへこんだけど、佐野さんは、ケイの身元引受人だし・・・それもしょうがないかなって、自分を納得させることにした。
病院に戻った時、ケイは、看護士さんやお医者さんがびっくりするほど回復していた。
酸素マスクが邪魔だからって外してしまっても、結構というか・・・
全然平気そうで・・・
ベットから起き上がることもできていて、なんだか、昨夜の具合の悪さが嘘みたいだった。
午後には、ICUから一般病棟に移るらしい。
午前中の診察で、一応の治療計画も決めてきたらしいし、取りあえず、一週間ほどの入院で済みそうだということだった・・・
ほんとに、それで退院してしまっても大丈夫なのかなって、あたしは思ったんだけど、ケイはどうしても、仕事に戻りたかったらしく、ちゃんと通院するからと言って、お医者さんを振り切ったらしい。
「優子、屋上行くか?」
病室でケイにそう言われて、あたしはびっくりして、きょとんとケイの顔を見つめてしまった。
ケイは、おかしそうに笑って、「また動いたらダメですよ!」って止めにきた看護士さんまで振り切って、あたしを連れて・・・・病院の屋上にやってきてしまった。
「もぉ・・・大丈夫なの?看護士さん怒ってたよ?ケイ、昨夜、死に掛けたんだよ?
あんまり動くと・・・また倒れちゃうよ?」
春らしいあったかい風が吹き抜ける屋上のベンチで、あたしは、隣に座っているケイにそう言うと、血色の良くなったケイの綺麗な顔をまじまじと見た。
ケイは、パジャマ姿のまま、あははって笑って、よく晴れた空を見上げる。
「だって暇じゃん?入院とか嫌なんだよ、自由がないから」
「いや、確かに自由はないかもしれないけど・・・無理したら、また・・・」
「心配性だな?優子は?」
「心配性とか!心配性じゃないとか!そういう問題じゃないよ!」
思わずムキになってそう言ったあたしを横目で見て、ケイは、愉快そうな顔つきでもう一度笑う。
「怒るなよ」
「怒るよ!」
「大丈夫だよ、ちゃんと治療は受けるからさ」
「あたり前だよ!」
「抗がん剤は嫌なんだけどな・・・まだ放射線のがまし・・・」
「そんなこと言ったって、そうしないと・・・」
「うん、わかってるよ」
ケイはそう言って、唇だけで小さく笑う。
あたしは、そんなケイの横顔を見つめながら、あえて笑顔でしてこう言ってみた。
「ケイが具合悪いと思って、会社さぼったのに、結構元気なんだもん。
インフルだって言っちゃったから、4日ぐらい暇だぁ~
毎日ケイのとこ通っちゃおうかな!」
「別に泊まってもいいけど?どうせ特別室だし」
「は!?なにそれ!?っていうか特別室とか!そんなのあるの!?」
「あるよ。ほら、有名人とかさ政治家とかさ、入院するときもあるだろ?
ここ大学病院だし、そういう病室もあるって訳」
「高いじゃん!」
「高いよ。でも、相部屋で、隣のベッドで誰かに唸られてても落ち着かないしな」
ケイは、冗談ぽくそう言って笑う。
あたしはきょとんとして、思わずこう言ってしまった。