BitteR SweeT StrawberrY
「スケールが違うよぉ・・・おじいちゃん入院したとき普通に相部屋だったし。
大体、そんな病室あるのも知らなかったよぉ」

「優子らしい優子なとこが出た!」

「ひどーい!またそうやって!!」

「ガクから聞いたよ・・・おまえ、昨夜、ぴーぴー泣いてたんだって?」

「はぅ!!」

「心配しすぎ!」

「心配するよ!いきなり倒れられたら!誰だって心配しますぅ!」

その答えを聞いたケイが、また、あはははって笑う。
もう、ほんとに、倒れたのが昨夜だったなんて忘れちゃうぐらい、いつものケイで、あたしは、なんだか安心した。
でも・・・
だからと言って、ケイの病気が治った訳じゃない・・・
あたしは、ちょっとだけ、胸が痛くなった。
治ってほしい、元気になってほしい・・・
そう思っても、叶わないのかな・・・
思わずうつむいたあたし。

そんなあたしの肩に、ケイはすぅって腕を回して抱き寄せる。
ハッとしたあたしのおでこに、こつんって、自分のおでこをぶつけて、ケイは、やわらかく笑った。
あたしは、思い切り照れて、顔を赤くしてしまう。
そんなあたしに向かって、ケイは言った。

「あの日さ・・・」

「うん?」

「初めて優子に会った日さ」

「うん・・・」

「実は、あの日が・・・転移再発の宣告、受けた日だったんだよな」

「え?」

「あの日は、さすがに・・・ちょっとヘコんでたんだ・・・
なんとなく、その辺ぶらぶらして・・・
なんとなく、家に帰ろうと思ったら・・・
変なオーラの優子が、酔っ払いに絡まれてた」

そう言って、ケイは、唇だけで柔らかく微笑む。
あたしは、ますます顔を赤くして、上目遣いにケイの顔を見つめてしまった。

「変なオーラって・・・またそうやって・・・」

「だって、ほんとに変なオーラだろ?」

「もぉ・・・!」

「あはは・・・!」

「むぅ・・・っ」

「こんな日に、こんな変なオーラ出したやつに会うなんてって、可笑しくなって。
取りあえず、連れて逃げてみた」

「とりあえずって・・・ひどい言い方だな!」

「連れて逃げてみたら・・・おまえ、無駄に可愛くて。
これって・・・なんかのプレゼントかなって思った」

「ええ?!あたしが!?プレゼント!?」

「うん」

なんだか、無邪気にうなずくケイの顔を見て、あたしの顔はますます赤くなって、いつものように、心臓が・・・どくんどくんって、大きく鳴り始めてしまって・・・
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