BitteR SweeT StrawberrY
あたしは、ケイの目から、思わず目を逸らしてしまう。
だけどケイは、あたしの顎を指先で摘んで、ぐいって、あたしの顔を自分の方を向かせてしまうのだ。

「うぅ・・・っ」

思い切り照れまくるあたしを、真っ直ぐな瞳で見つめて、ケイは静かに言う。

「優子に会えてよかった・・・」

「きゅ、急に、な・・・なに言っちゃってんの?」

「優子のことは、何も考えないで可愛がれる」

「ぺ、ペットですか!?」

「馬鹿だな・・・利害関係、なんも考えないで愛せるってことだよ・・・」

「!?」

あたしの心臓が、どくんって物凄い大きな音を上げた。
この言葉を、どういう風に解釈していいのかわからなくて、あたしは、真っ赤な顔のまま呆然として、金魚みたいに、口をぱくぱくさせてしまう。
ケイは、そんなあたしの反応を愉快そうな顔をして見つめていた。

「なんだ、その顔?」

「え!うんと・・・えと・・・あの・・っ
そ、それは・・・ど、どういう意味にとればいいのかなって!」

「単純に、オレは優子が好きだってことだけど?わからないか?」

「はぅ!」

まさか、こんなときに、こんなことを言われるなんて思ってなかったあたしは、心臓のばくばくを止めることもできないで、ただ、半ば呆然と、ケイの顔を見つめるばかりだった。
イタズラっぽく笑ったケイの唇が、そっとあたしに近づく。
恥ずかしくてぷるぷると震えたあたしは、ケイのパジャマの袖をぎゅって掴んで、思わず瞳を閉じた。

苺を練りこんだ生クリームのような、柔らかな唇が、あたしの唇に、そっと触れる。
あったかい唇。
柔らかい唇。

ケイは女の人で、あたしも女で、こんなの確かにおかしいのかもしれないけど・・・
あたしは、ケイが好きで・・・
一緒にいたくて・・・
ずっと一緒にいたくて・・・

あたしはこの時、遠い空にいる神様に「ケイを連れていかないで!病気を治して!」って、本気で頼んでいたのだった。

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