BitteR SweeT StrawberrY
【17】~Ⅰ~
大学病院の特別個室は結構豪華で、なんだかホテルの部屋みたいに、お風呂とか付いてて、あたしはびっくりした。
担当のお医者さんと相談して、極少量抗がん剤療法というのを試してみる・・・ということで、個室に移ってから、ケイへの抗がん剤の投与はすぐに始まった。
なんだか、この治療法は、ほんとに限られた病院でしか行われていないらしく、ある意味では試験みたいなものなのかもしれない。
難しいことは、あたしには全然わからないけど、それでも、副作用のリスクは大分減るらしく、免疫低下とか、そういうのもある程度は防げるらしい・・・
それと並行して放射線治療もするから、あとは、もうどのぐらい癌の増殖を抑えられるか、その結果を待つしかないのだ。
あたしにできることと言えば、一緒にいて、身の回りのお世話をするとか、話し相手をするとか、もうそんなことしかないから、あたしは、ずる休みをしている間、ほぼ一日中、ケイの病院にいた。
抗がん剤投与の次の日から、新城さんとか、雛乃ちゃんとか、真帆ちゃんとか、彩さんとか、みんな日替わりでお見舞いにきてた。
お見舞いというよりも、なんだか、みんな遊びに来てるみたいなものだったけど、逆にそれが、ケイにとっては一番の薬だったのかもしれない。
熱が出てたり、吐き気があったりしたみたいだけど、それでもなんだか、ケイは楽しそうだった。
佐野さんも、仕事が終わると必ず病室に顔を見せていた。
横浜から都内の病院に通うのは、大変だろうと思ったけど、それでも佐野さんは一日も欠かさずに来ていた。
あたしもそうだけど・・・
みんな、ケイのことが好きで、早く元気になってもらいたいって、思ったんだと思う。
*
ずる休み最終日。
あたしは、面会時間ぎりぎりまで、ケイの病室にいた。
そろそろ、佐野さんも来る頃だった。
抗がん剤の副作用もあるのか、ケイは、ちょっとだるいって言って、夕方辺りからすやすやと寝ている。
別に苦しそうではないし、寝息はいたって穏やかだし、あたしは、なんだか安心した。
ケイが寝てる間、病院の図書室から、「がんを克服するための料理」なんて本を借りてきて、まじめにそれを読んでいた。
お医者さんじゃないあたしができることなんて、ほんとに限られていて、もう、ケイの部屋に住み着く勢いで、退院したら毎日作ってあげようとか、本気でそんなことも考えていた。
でもそれは・・・
やっぱり本人の了承がないとダメだよね・・・
この時点でのあたしは、もう大輔のことなんかどうでもいいって思っていた。
別れ話をする必要も無いって思ってた。
それは、時計の針が、そろそろ夜7時を差す頃のこと、バックの中に入れてあった携帯が、ぶるぶるって震えた。
あたしは、料理の本をテーブルに置いて、何気なく携帯を取り出した。
メール着信のアイコンが出てる。
それを開いてみると・・・
送信者は・・・大輔だった。
担当のお医者さんと相談して、極少量抗がん剤療法というのを試してみる・・・ということで、個室に移ってから、ケイへの抗がん剤の投与はすぐに始まった。
なんだか、この治療法は、ほんとに限られた病院でしか行われていないらしく、ある意味では試験みたいなものなのかもしれない。
難しいことは、あたしには全然わからないけど、それでも、副作用のリスクは大分減るらしく、免疫低下とか、そういうのもある程度は防げるらしい・・・
それと並行して放射線治療もするから、あとは、もうどのぐらい癌の増殖を抑えられるか、その結果を待つしかないのだ。
あたしにできることと言えば、一緒にいて、身の回りのお世話をするとか、話し相手をするとか、もうそんなことしかないから、あたしは、ずる休みをしている間、ほぼ一日中、ケイの病院にいた。
抗がん剤投与の次の日から、新城さんとか、雛乃ちゃんとか、真帆ちゃんとか、彩さんとか、みんな日替わりでお見舞いにきてた。
お見舞いというよりも、なんだか、みんな遊びに来てるみたいなものだったけど、逆にそれが、ケイにとっては一番の薬だったのかもしれない。
熱が出てたり、吐き気があったりしたみたいだけど、それでもなんだか、ケイは楽しそうだった。
佐野さんも、仕事が終わると必ず病室に顔を見せていた。
横浜から都内の病院に通うのは、大変だろうと思ったけど、それでも佐野さんは一日も欠かさずに来ていた。
あたしもそうだけど・・・
みんな、ケイのことが好きで、早く元気になってもらいたいって、思ったんだと思う。
*
ずる休み最終日。
あたしは、面会時間ぎりぎりまで、ケイの病室にいた。
そろそろ、佐野さんも来る頃だった。
抗がん剤の副作用もあるのか、ケイは、ちょっとだるいって言って、夕方辺りからすやすやと寝ている。
別に苦しそうではないし、寝息はいたって穏やかだし、あたしは、なんだか安心した。
ケイが寝てる間、病院の図書室から、「がんを克服するための料理」なんて本を借りてきて、まじめにそれを読んでいた。
お医者さんじゃないあたしができることなんて、ほんとに限られていて、もう、ケイの部屋に住み着く勢いで、退院したら毎日作ってあげようとか、本気でそんなことも考えていた。
でもそれは・・・
やっぱり本人の了承がないとダメだよね・・・
この時点でのあたしは、もう大輔のことなんかどうでもいいって思っていた。
別れ話をする必要も無いって思ってた。
それは、時計の針が、そろそろ夜7時を差す頃のこと、バックの中に入れてあった携帯が、ぶるぶるって震えた。
あたしは、料理の本をテーブルに置いて、何気なく携帯を取り出した。
メール着信のアイコンが出てる。
それを開いてみると・・・
送信者は・・・大輔だった。