BitteR SweeT StrawberrY
エントランスの前に、誰か立ってる。
紺色のスーツ姿の男の人・・・
煙草をふかしながら、携帯を気にしてるその人は、間違いなく、大輔だった・・・
なんで・・・
こんなとこに・・・
いるの・・??
あたしは一瞬、頭の中が真っ白になってしまう。
ケイが病院で言ってた冗談が、現実になってしまった・・・
ど、どうしよう・・・
あたしは、しばらくの間その場でフリーズする。
大輔は、またあたしに気付いていない。
ここは、どうした方が得策なのか・・・
そう思ってるうちに、あたしの意思なんかまるっきり無視して、会社の前で待ってたり、家の前で待ってたりする大輔に、無償に腹が立ってきた。
大輔と付き合い始めて3年。
確かに、あたしにも悪いところはあったかもしれない。
確かに、大輔と付き合ってて、プロポーズまでされたのに、あたしは、ケイを・・・
同じ女であるケイを好きになってしまって、例え男でも女でも、他の人を好きになってしまったことに関しては、悪いなって思ってる。
だけど!
百歩譲って浮気は許したとしても、この間のあの発言は絶対にあり得ないし、許せない。
あたしは、苛立つ感情を押さえて、きりって顔を引き締めて、ゆっくりと大輔に近づいていった。
足音で、大輔は、あたしの存在に気付いたらしい。
ハッとこっちを振り向いた大輔は、何故か笑顔になって、あたしのところまで走ってきた。
あたしは立ち止まって、ほぼ無表情のまま、目の前の大輔を睨む。
「優子ちゃん!この間は、ごめん!ほんとにごめんね!」
大輔は、へらへらと笑いながらそう言った。
まるで、デートの時間に遅れてきたときのような、そんな笑い方と口調で、どう考えても、本気で謝ってるようには思えない。
大輔は、あたしをどれだけ傷つけたのか、きっと、全然判ってないんだ。
そんな大輔の態度に、あたしの心にはますます怒りがこみ上げてくる。
あたしは、じろって大輔を睨んだまま、一言だけ、こう言った。
「なにそれ?」
大輔は、え?って言うような顔つきで、怒り心頭しているあたしの顔を見る。
「なにって・・・この間のこと、悪かったなって思って・・・
いや、あれはただのリップサービスっていうかなんていうか・・・
あの子、客がつかなくて困ってたから・・・それで・・・」
「リップサービス??仮にも付き合ってる女のことを、違う女の子の前で馬鹿にすることが、リップサービスな
の??」
究極にイラついてきたあたしは、自分でもびっくりするぐらいドスの効いた声で、思わずそう言ってしまう。
いつもはなんのわがままも、自己主張もしなかったあたしが、そんな言葉を吐くとは思っていなかったらしく、大輔は、そこで初めて、ハッとことの重大さに気付いたみたいだった。
へらへら笑いを止めた大輔が、困ったような顔をして、あたしの視線から自分の視線を逸らす。
「あれは・・・ただの言葉のあやで!本気でなんか言ってなかったよ・・・」
「へー・・・それで?あやだったから・・・なに?」
「な・・・なにって・・・」
「言葉のあやなら、あたしを傷つけてもいいんだ?つまりそういうことなんだよね?」
「いや!それは違うよ!」
「じゃあなに?一体大輔は、あたしに何が言いたいの?」
「謝りたくて・・・」
「なんで謝るの?」
「なんでって・・・悪いことしたなって・・・そう思って」
「・・・悪い悪くないの前に、大輔は、あたしのことを大事だなんて思ってないよね?
大事に思ってたんだとしたら、あんな言葉、出てこなかったと思うよ。
あたし、別に謝って欲しいとか思ってない。
その代り、もう、大輔とはやっていけない。
あたしの話しはそれだけ」
自分でもびっくりするぐらい冷淡にそう言って、驚いて唖然とした大輔の脇を、あたしは、つかつかとマンションに向かって歩きだす。
紺色のスーツ姿の男の人・・・
煙草をふかしながら、携帯を気にしてるその人は、間違いなく、大輔だった・・・
なんで・・・
こんなとこに・・・
いるの・・??
あたしは一瞬、頭の中が真っ白になってしまう。
ケイが病院で言ってた冗談が、現実になってしまった・・・
ど、どうしよう・・・
あたしは、しばらくの間その場でフリーズする。
大輔は、またあたしに気付いていない。
ここは、どうした方が得策なのか・・・
そう思ってるうちに、あたしの意思なんかまるっきり無視して、会社の前で待ってたり、家の前で待ってたりする大輔に、無償に腹が立ってきた。
大輔と付き合い始めて3年。
確かに、あたしにも悪いところはあったかもしれない。
確かに、大輔と付き合ってて、プロポーズまでされたのに、あたしは、ケイを・・・
同じ女であるケイを好きになってしまって、例え男でも女でも、他の人を好きになってしまったことに関しては、悪いなって思ってる。
だけど!
百歩譲って浮気は許したとしても、この間のあの発言は絶対にあり得ないし、許せない。
あたしは、苛立つ感情を押さえて、きりって顔を引き締めて、ゆっくりと大輔に近づいていった。
足音で、大輔は、あたしの存在に気付いたらしい。
ハッとこっちを振り向いた大輔は、何故か笑顔になって、あたしのところまで走ってきた。
あたしは立ち止まって、ほぼ無表情のまま、目の前の大輔を睨む。
「優子ちゃん!この間は、ごめん!ほんとにごめんね!」
大輔は、へらへらと笑いながらそう言った。
まるで、デートの時間に遅れてきたときのような、そんな笑い方と口調で、どう考えても、本気で謝ってるようには思えない。
大輔は、あたしをどれだけ傷つけたのか、きっと、全然判ってないんだ。
そんな大輔の態度に、あたしの心にはますます怒りがこみ上げてくる。
あたしは、じろって大輔を睨んだまま、一言だけ、こう言った。
「なにそれ?」
大輔は、え?って言うような顔つきで、怒り心頭しているあたしの顔を見る。
「なにって・・・この間のこと、悪かったなって思って・・・
いや、あれはただのリップサービスっていうかなんていうか・・・
あの子、客がつかなくて困ってたから・・・それで・・・」
「リップサービス??仮にも付き合ってる女のことを、違う女の子の前で馬鹿にすることが、リップサービスな
の??」
究極にイラついてきたあたしは、自分でもびっくりするぐらいドスの効いた声で、思わずそう言ってしまう。
いつもはなんのわがままも、自己主張もしなかったあたしが、そんな言葉を吐くとは思っていなかったらしく、大輔は、そこで初めて、ハッとことの重大さに気付いたみたいだった。
へらへら笑いを止めた大輔が、困ったような顔をして、あたしの視線から自分の視線を逸らす。
「あれは・・・ただの言葉のあやで!本気でなんか言ってなかったよ・・・」
「へー・・・それで?あやだったから・・・なに?」
「な・・・なにって・・・」
「言葉のあやなら、あたしを傷つけてもいいんだ?つまりそういうことなんだよね?」
「いや!それは違うよ!」
「じゃあなに?一体大輔は、あたしに何が言いたいの?」
「謝りたくて・・・」
「なんで謝るの?」
「なんでって・・・悪いことしたなって・・・そう思って」
「・・・悪い悪くないの前に、大輔は、あたしのことを大事だなんて思ってないよね?
大事に思ってたんだとしたら、あんな言葉、出てこなかったと思うよ。
あたし、別に謝って欲しいとか思ってない。
その代り、もう、大輔とはやっていけない。
あたしの話しはそれだけ」
自分でもびっくりするぐらい冷淡にそう言って、驚いて唖然とした大輔の脇を、あたしは、つかつかとマンションに向かって歩きだす。