BitteR SweeT StrawberrY
そんなあたしの腕を、泡を食ったような顔をした大輔が掴んだ。
「待ってよ!優子ちゃん!」
そう言った大輔の手を、あたしは思い切り振り払う。
この人は、どれだけ調子がいいんだろう?
前向きで朗らかに思えてた大輔の長所は、あたしの中で、無神経という短所に変化して、あたしの怒りは、ますます助長されていく。
「なんで待たないといけないの!?
あたしにはもう話しはないって言ってるじゃん!」
「いや!だから!違うんだよ優子ちゃん!」
「何が違うのよ!?別にあたしのことなんかもうどうでもいいでしょ!?
あの子と仲良くやればいいよ!」
「リコとはもう別れたよ!色々考えて、俺には優子ちゃんが一番だって、そう思ったから!
だからそれを言いたくて・・・」
「今更遅いよ!一番とか二番とかそういうのなんかもうどうでもいい!
大輔は、譲歩してあたしにプロポーズしたんでしょ?
あたしはなんでも信じるし、お金貯めてこんでそうだし、都合がいいから付き合ってたんでしょ?あの時大輔は、そう言ったよね!?」
「いや・・・だからあれは・・・・」
「ただの言葉のあやだって言うの?」
「いや・・・それは・・・」
あたしにそう言われて、大輔は口ごもった。
あたしは、ぎゅって唇を噛み締めて、わなわなとこぶしを震わせながら、くるって大輔に背中を向けた。
もう、こんなことに時間を取られてることが馬鹿らしい。
あたしと大輔の3年間は、あたしの中では、もうここで終わったって思った。
あたしは、きっと後悔なんかしない、今更、この人との結婚なんか考えられる訳もない。
3年も、この人の本性に気付かなかったあたしも馬鹿だった。
そんな自分にも、これでリセットをかけられると・・・そう思った。
だけど・・・大輔は、これで終わりだとは思っていないらしかった。
つかつかと歩き出したあたしを追いかけてきた大輔が、突然、後ろからあたしの体を抱き締める。
「!?」
あたしは、ぎょっとして後ろを振り返る。
大輔は、今にも泣きだしそうな顔をしながら、こう言ったのだ。
「もう俺には優子ちゃんしかいないんだ!俺は、リコに騙されたんだよ!
昨日やっとそれに気付いたんだ!やっぱり、俺には優子ちゃんしかいない・・・
お願いだよ、信じて」
この人は一体何を言ってるんだろう?
一体、今更何を信じろと言うんだろう?
騙されたって・・・
浮気相手のあの子はどこからどうみても水商売系の子で、騙すも何も無いような気がする。
「騙されたって・・・・一体、何を騙されたって言うのよっ?一体あたしに、何を信じろって言うのよっ!?」
あたしは、大輔の手を振り解こうと体をよじりながら、思わず声を大きくしてそう言ってしまう。
今まで何も言えなかったあたしが、ここまで感情を表に出せたのは、ある意味では奇跡なんじゃないかと、自分でも思う。
以前、ケイがあたしに言ってくれた、「自己主張ができるようになったな」って・・・・
ここに来て、なんだか、初めて、自分自身でそれに気付いたような気がする。
「離してよ!もう触らないで!」
大輔の腕を振り解こうと、あたしは尚も体をよじって抵抗するけど、大輔の腕は一向に離れない。
「リコとはただの遊びだったんだよ!それだけはわかってくれ!
やっぱり俺には優子ちゃんしかいないんだよ!
いつもニコニコしながら笑ってくれた優子ちゃんに癒されて、俺、頑張ってこれたんだって、ほんとに今そう思ってるよ!」
「浮気相手にフラれたから、そんなこと言ってるだけでしょ?!
大ちゃんはあたしのことなんか好きじゃないよ!
もし、あたしのことほんとに好きなら、あたしが嫌がることなんかしないはず!!
あたしにはもう、何も話すことなんかないし、大ちゃんと元に戻りたいとかも思ってない!」
「そんなこと言わないで・・・頼む、考え直して・・・頼むよ」
「いい加減にして!!」
あたしが、半ば怒鳴り声になってそう言った時だった。
ほぼもみ合い状態になってるあたしと大輔の脇を、ハザードをたいたタクシーが、減速しながらすぅって通り抜けていく。
「待ってよ!優子ちゃん!」
そう言った大輔の手を、あたしは思い切り振り払う。
この人は、どれだけ調子がいいんだろう?
前向きで朗らかに思えてた大輔の長所は、あたしの中で、無神経という短所に変化して、あたしの怒りは、ますます助長されていく。
「なんで待たないといけないの!?
あたしにはもう話しはないって言ってるじゃん!」
「いや!だから!違うんだよ優子ちゃん!」
「何が違うのよ!?別にあたしのことなんかもうどうでもいいでしょ!?
あの子と仲良くやればいいよ!」
「リコとはもう別れたよ!色々考えて、俺には優子ちゃんが一番だって、そう思ったから!
だからそれを言いたくて・・・」
「今更遅いよ!一番とか二番とかそういうのなんかもうどうでもいい!
大輔は、譲歩してあたしにプロポーズしたんでしょ?
あたしはなんでも信じるし、お金貯めてこんでそうだし、都合がいいから付き合ってたんでしょ?あの時大輔は、そう言ったよね!?」
「いや・・・だからあれは・・・・」
「ただの言葉のあやだって言うの?」
「いや・・・それは・・・」
あたしにそう言われて、大輔は口ごもった。
あたしは、ぎゅって唇を噛み締めて、わなわなとこぶしを震わせながら、くるって大輔に背中を向けた。
もう、こんなことに時間を取られてることが馬鹿らしい。
あたしと大輔の3年間は、あたしの中では、もうここで終わったって思った。
あたしは、きっと後悔なんかしない、今更、この人との結婚なんか考えられる訳もない。
3年も、この人の本性に気付かなかったあたしも馬鹿だった。
そんな自分にも、これでリセットをかけられると・・・そう思った。
だけど・・・大輔は、これで終わりだとは思っていないらしかった。
つかつかと歩き出したあたしを追いかけてきた大輔が、突然、後ろからあたしの体を抱き締める。
「!?」
あたしは、ぎょっとして後ろを振り返る。
大輔は、今にも泣きだしそうな顔をしながら、こう言ったのだ。
「もう俺には優子ちゃんしかいないんだ!俺は、リコに騙されたんだよ!
昨日やっとそれに気付いたんだ!やっぱり、俺には優子ちゃんしかいない・・・
お願いだよ、信じて」
この人は一体何を言ってるんだろう?
一体、今更何を信じろと言うんだろう?
騙されたって・・・
浮気相手のあの子はどこからどうみても水商売系の子で、騙すも何も無いような気がする。
「騙されたって・・・・一体、何を騙されたって言うのよっ?一体あたしに、何を信じろって言うのよっ!?」
あたしは、大輔の手を振り解こうと体をよじりながら、思わず声を大きくしてそう言ってしまう。
今まで何も言えなかったあたしが、ここまで感情を表に出せたのは、ある意味では奇跡なんじゃないかと、自分でも思う。
以前、ケイがあたしに言ってくれた、「自己主張ができるようになったな」って・・・・
ここに来て、なんだか、初めて、自分自身でそれに気付いたような気がする。
「離してよ!もう触らないで!」
大輔の腕を振り解こうと、あたしは尚も体をよじって抵抗するけど、大輔の腕は一向に離れない。
「リコとはただの遊びだったんだよ!それだけはわかってくれ!
やっぱり俺には優子ちゃんしかいないんだよ!
いつもニコニコしながら笑ってくれた優子ちゃんに癒されて、俺、頑張ってこれたんだって、ほんとに今そう思ってるよ!」
「浮気相手にフラれたから、そんなこと言ってるだけでしょ?!
大ちゃんはあたしのことなんか好きじゃないよ!
もし、あたしのことほんとに好きなら、あたしが嫌がることなんかしないはず!!
あたしにはもう、何も話すことなんかないし、大ちゃんと元に戻りたいとかも思ってない!」
「そんなこと言わないで・・・頼む、考え直して・・・頼むよ」
「いい加減にして!!」
あたしが、半ば怒鳴り声になってそう言った時だった。
ほぼもみ合い状態になってるあたしと大輔の脇を、ハザードをたいたタクシーが、減速しながらすぅって通り抜けていく。