BitteR SweeT StrawberrY
そんな大輔の様子を見て、あたしは、「え?」って思った。
大輔の顔は、図星を突かれて血の気が引いたって、まさにそんな感じだったから・・・
驚愕したあたしは、ハッと大輔を振り返った。
「まさか・・・っ!大ちゃん・・・まさか・・・っ?!」
大輔は真っ青な顔になって後退りすると、無言のまま、くるっと背中を向けて、その場から逃げるようにさっさっと駅の方へと歩いていってしまう。
あたしは、呆然としてそんな大輔の背中を見送ると、一体、何が起こったのか理解しきれないまま、まじまじと、ケイの綺麗な横顔を見つめてしまった。
ケイは、そんなあたしの視線に気がついて、あたしの方に振り返ると、唇だけで小さく笑った。
「嫌な予感的中・・・・追っかけてきてよかったよ・・・」
「追っかけてきたって・・・」
そこまで言って、不意に我に返ったあたしは、咄嗟にケイのコートを掴んで、まくし立てるようにこう聞いたのだ。
「っていうか・・・なんでケイ!こんなとこにいるの!?具合悪いんじゃなかったの!?
まさか・・・病院こっそり抜け出してきたとか・・・そんなこと言わないよね!?」
ケイは、何も答えないで、ただちょっとだけ困ったような顔して、そっとあたしに片手を伸ばすと、くしゃくしゃとあたしの髪を撫でまわした。
そんなケイの手が、異様に熱い。
熱があるんだ!
抗がん剤の副作用は、ほんとにキツイってこと、あたしだって知識として知ってる。
普通は立ってられないし、吐き気もするし、寝たきりで唸ってるしかないって・・・
いくら、最新の治療方法で抗がん剤の量が少ないって言ったって、それだって副作用は出てるはず。
病院で会った時もケイは熱っぽかったし、そんな状態で、こんなとこにいるとか、ほんとにあり得ないんだよ!
「ケイ!早く病院戻って!ダメだよ!寝てないと!」
「そだな・・・・」
ケイはそう答えて、可笑しそうにくすくすと笑う。
そんなケイの後ろから、ゆっくりとこっちに歩いてきた佐野さんが、思い切り呆れかえったような顔をしてこう言ったのだ。
「俺が病院行ったらさ・・・その瞬間、優子のとこに連れてけってきたもんだ・・・
一度言い出したら聞かないからさ・・・
ケイ、医者にどやされる前に、ほら、帰るぞ・・・ふらふらなくせ・・・」
佐野さんがそう言いかけた時だった、突然、ケイの体が崩れるようにしてあたしに凭れかかってくる。
「ケイ!?」
あたしは、そんなケイの体を抱きとめながら、思わず、悲鳴のような声を上げてしまった。
慌ててケイの顔を見ると、あたしの視界の中で、何故かケイは、ほっとしたように微笑んでいた。
大丈夫、ちゃんと意識はあるし、この間みたいに、呼吸が荒い訳でもない。
とりあえず、そこは安心したけど、あたしは、「もぉ!!笑ってる場合じゃないよ!!」ってケイに怒ってから、ついでに、佐野さんにも思い切り怒ってしまった。
「佐野さん!佐野さんがいるのに!なんでケイに無理させるのよ!?ダメだよ!!
あたしなんかのために!無理なんかさせたらいけないんだから!!
ちゃんと看ててくれないとダメだよ!!!
早く病院にケイを連れてってあげてください!!!」
後から聞いた話しでは、この後、病院に戻ったら、ケイも佐野さんも、看護士さんとお医者さんに、それこそ雷を落とされたように、ものすごい勢いで怒られたってことだった。
だけど、そんなこと当たり前で、あたしだって怒ったけど・・・・
でも・・・
そこまでしてあたしの様子を見にきてくれたって思うと、なんだか嬉しくもあった。
もちろん、そんなに喜んだらいけないことだけど・・・・
その日を境に、大輔からあたしへの連絡もぷっつりと途絶えた。
だけど、そこから二日ほど、ケイは熱を出したままになって、退院が少し延びてしまったのもまた、言うまでもない事実だった。
大輔の顔は、図星を突かれて血の気が引いたって、まさにそんな感じだったから・・・
驚愕したあたしは、ハッと大輔を振り返った。
「まさか・・・っ!大ちゃん・・・まさか・・・っ?!」
大輔は真っ青な顔になって後退りすると、無言のまま、くるっと背中を向けて、その場から逃げるようにさっさっと駅の方へと歩いていってしまう。
あたしは、呆然としてそんな大輔の背中を見送ると、一体、何が起こったのか理解しきれないまま、まじまじと、ケイの綺麗な横顔を見つめてしまった。
ケイは、そんなあたしの視線に気がついて、あたしの方に振り返ると、唇だけで小さく笑った。
「嫌な予感的中・・・・追っかけてきてよかったよ・・・」
「追っかけてきたって・・・」
そこまで言って、不意に我に返ったあたしは、咄嗟にケイのコートを掴んで、まくし立てるようにこう聞いたのだ。
「っていうか・・・なんでケイ!こんなとこにいるの!?具合悪いんじゃなかったの!?
まさか・・・病院こっそり抜け出してきたとか・・・そんなこと言わないよね!?」
ケイは、何も答えないで、ただちょっとだけ困ったような顔して、そっとあたしに片手を伸ばすと、くしゃくしゃとあたしの髪を撫でまわした。
そんなケイの手が、異様に熱い。
熱があるんだ!
抗がん剤の副作用は、ほんとにキツイってこと、あたしだって知識として知ってる。
普通は立ってられないし、吐き気もするし、寝たきりで唸ってるしかないって・・・
いくら、最新の治療方法で抗がん剤の量が少ないって言ったって、それだって副作用は出てるはず。
病院で会った時もケイは熱っぽかったし、そんな状態で、こんなとこにいるとか、ほんとにあり得ないんだよ!
「ケイ!早く病院戻って!ダメだよ!寝てないと!」
「そだな・・・・」
ケイはそう答えて、可笑しそうにくすくすと笑う。
そんなケイの後ろから、ゆっくりとこっちに歩いてきた佐野さんが、思い切り呆れかえったような顔をしてこう言ったのだ。
「俺が病院行ったらさ・・・その瞬間、優子のとこに連れてけってきたもんだ・・・
一度言い出したら聞かないからさ・・・
ケイ、医者にどやされる前に、ほら、帰るぞ・・・ふらふらなくせ・・・」
佐野さんがそう言いかけた時だった、突然、ケイの体が崩れるようにしてあたしに凭れかかってくる。
「ケイ!?」
あたしは、そんなケイの体を抱きとめながら、思わず、悲鳴のような声を上げてしまった。
慌ててケイの顔を見ると、あたしの視界の中で、何故かケイは、ほっとしたように微笑んでいた。
大丈夫、ちゃんと意識はあるし、この間みたいに、呼吸が荒い訳でもない。
とりあえず、そこは安心したけど、あたしは、「もぉ!!笑ってる場合じゃないよ!!」ってケイに怒ってから、ついでに、佐野さんにも思い切り怒ってしまった。
「佐野さん!佐野さんがいるのに!なんでケイに無理させるのよ!?ダメだよ!!
あたしなんかのために!無理なんかさせたらいけないんだから!!
ちゃんと看ててくれないとダメだよ!!!
早く病院にケイを連れてってあげてください!!!」
後から聞いた話しでは、この後、病院に戻ったら、ケイも佐野さんも、看護士さんとお医者さんに、それこそ雷を落とされたように、ものすごい勢いで怒られたってことだった。
だけど、そんなこと当たり前で、あたしだって怒ったけど・・・・
でも・・・
そこまでしてあたしの様子を見にきてくれたって思うと、なんだか嬉しくもあった。
もちろん、そんなに喜んだらいけないことだけど・・・・
その日を境に、大輔からあたしへの連絡もぷっつりと途絶えた。
だけど、そこから二日ほど、ケイは熱を出したままになって、退院が少し延びてしまったのもまた、言うまでもない事実だった。