BitteR SweeT StrawberrY
あたしが会社に出勤してないこともあり、その記事のせいで、会社の中がすごく騒がしいって、美保はそう言って、電話の向こうで深くため息をついた。
「だからさぁ、同僚とか先輩とかにそのこと聞かれてさぁ・・・
何かの間違いだよって・・・
申し訳ないとは思ったけど、優ちゃん、村木さんに浮気されて、別れたばっかりなんだよって、そう言ったのにぃ・・・なんだか、みんな信じてないっぽくてさぁ・・・」
あたしは、美保の言葉を聞いて、なんというか・・・ものすごく、嫌な気分になったというか、落ち込んだというか、とにかく複雑で、どことなく恐怖を感じてしまった。
あたしは何もしてないし、大輔がお客さんから詐欺をしてお金取ったなんてこともしらなかったし、大体、浮気されてるのだって知らなかった訳で・・・
それが真実なのに・・・
嘘かほんとかわからないような週刊誌の記事を見て、あたしという人間を知っている人も、知らない人も、あたしも共犯だって思いこんでしまうんだ。
マスメディアの力って・・・
なんて怖いんだろう・・・・
気付いたら、携帯を持ってるあたしの右手が、小さくぶるぶると震えていた。
あたしは、そんな動揺を隠すように、電話口の美保に向かってこう言ったのだ。
「あたし、行方不明になんかなってないし・・・現にこうして、美保と話してる訳だし・・・
その週刊誌の記事、絶対間違ってるよ」
「そうだよね、それは判るよぉ・・・もうね、こんなのデマもいいとこだよ!
一体何を取材して、こんないい加減なこと書けるんだろうね!
なんか、あたし、急に腹が立ってきた!」
美保は、電話の向こうで口調を荒げて、そんな返事を返してくる。
そんな美保の友情が、なんだか嬉しくて、あたしは、小さく震えながらも、できる限り明るい声で言う。
「マスコミなんてそんなもんだよね・・・・怒ってくれてありがと・・・
でも・・・まぁ、きっと、大丈夫だと思うよ・・・」
「うーん・・・だといいけど・・・・優ちゃん家に、マスコミとか来てない?」
「どうかなぁ?二日ぐらい家に帰ってないから・・・まぁ、すぐ帰れるといえば、すぐ帰れる場所にはいるんだけど・・・」
「そっかぁ・・・・とにかくさぁ・・・勝手に思い込んで、勝手なこと言う人もいるかもだけど・・・あれだよ、気にしたらダメだよ」
「うん、そうするよ・・・ありがと・・・」
「いや、あたしはいいんだけどさ・・・
とりあえず、なんかあったら連絡して!ちょっと、呼ばれてるっぽい!
じゃ、仕事戻るね!」
「うん、わざわざありがとうね」
「大丈夫!じゃあね!」
美保はそう言って、電話を切った。
あたしの知らないところで、なんか、何かがおかしなことになってる・・・
あたしは周りに流されて生きてきて、「周りの意見」は正しいと思っていたけど、そんな周りに、今はこうやって、事実じゃないようなことを勝手に信じられてしまっている。
だとしたら、やっぱり・・・
あたしが信じてきた「周りの意見」というのも、実は正しい意見なんかじゃ、なかったのかもしれない。
もちろん、中には正しいものもあったのかもしれない・・・
だけど・・・
「周りの意見」というものだけが、真実じゃないことだけは、今、しみじみと実感した。
何が正しくて、何が正しくないのか・・・
そういうものは、自分の目で確かめないと、自分自身で体験しないと、判らないものなんだなって・・・あたしは、そう思った。
あたしは、切れた携帯電話を握ったまま、しばらく、呆然としてたけど・・・
とにかく・・・気を取り直して、買い物に出ようって思いなおした。
周りがどう言おうと、あたしは何も悪いことはしてないし!
堂々してるのが、絶対に一番だ!
免疫力を高めるっていう料理を、ケイに作ってあげるんだから、買い物にはいかないとね!
くじけそうになる自分を、そうやって励ましながら、あたしは、とにかく出かける準備をすることにした。
こうやって出かけたことをきっかけにして、あたしの心強い友達が、また一人できることになるなんて、その時のあたしは、まだ気付いてなかったのだ。
「だからさぁ、同僚とか先輩とかにそのこと聞かれてさぁ・・・
何かの間違いだよって・・・
申し訳ないとは思ったけど、優ちゃん、村木さんに浮気されて、別れたばっかりなんだよって、そう言ったのにぃ・・・なんだか、みんな信じてないっぽくてさぁ・・・」
あたしは、美保の言葉を聞いて、なんというか・・・ものすごく、嫌な気分になったというか、落ち込んだというか、とにかく複雑で、どことなく恐怖を感じてしまった。
あたしは何もしてないし、大輔がお客さんから詐欺をしてお金取ったなんてこともしらなかったし、大体、浮気されてるのだって知らなかった訳で・・・
それが真実なのに・・・
嘘かほんとかわからないような週刊誌の記事を見て、あたしという人間を知っている人も、知らない人も、あたしも共犯だって思いこんでしまうんだ。
マスメディアの力って・・・
なんて怖いんだろう・・・・
気付いたら、携帯を持ってるあたしの右手が、小さくぶるぶると震えていた。
あたしは、そんな動揺を隠すように、電話口の美保に向かってこう言ったのだ。
「あたし、行方不明になんかなってないし・・・現にこうして、美保と話してる訳だし・・・
その週刊誌の記事、絶対間違ってるよ」
「そうだよね、それは判るよぉ・・・もうね、こんなのデマもいいとこだよ!
一体何を取材して、こんないい加減なこと書けるんだろうね!
なんか、あたし、急に腹が立ってきた!」
美保は、電話の向こうで口調を荒げて、そんな返事を返してくる。
そんな美保の友情が、なんだか嬉しくて、あたしは、小さく震えながらも、できる限り明るい声で言う。
「マスコミなんてそんなもんだよね・・・・怒ってくれてありがと・・・
でも・・・まぁ、きっと、大丈夫だと思うよ・・・」
「うーん・・・だといいけど・・・・優ちゃん家に、マスコミとか来てない?」
「どうかなぁ?二日ぐらい家に帰ってないから・・・まぁ、すぐ帰れるといえば、すぐ帰れる場所にはいるんだけど・・・」
「そっかぁ・・・・とにかくさぁ・・・勝手に思い込んで、勝手なこと言う人もいるかもだけど・・・あれだよ、気にしたらダメだよ」
「うん、そうするよ・・・ありがと・・・」
「いや、あたしはいいんだけどさ・・・
とりあえず、なんかあったら連絡して!ちょっと、呼ばれてるっぽい!
じゃ、仕事戻るね!」
「うん、わざわざありがとうね」
「大丈夫!じゃあね!」
美保はそう言って、電話を切った。
あたしの知らないところで、なんか、何かがおかしなことになってる・・・
あたしは周りに流されて生きてきて、「周りの意見」は正しいと思っていたけど、そんな周りに、今はこうやって、事実じゃないようなことを勝手に信じられてしまっている。
だとしたら、やっぱり・・・
あたしが信じてきた「周りの意見」というのも、実は正しい意見なんかじゃ、なかったのかもしれない。
もちろん、中には正しいものもあったのかもしれない・・・
だけど・・・
「周りの意見」というものだけが、真実じゃないことだけは、今、しみじみと実感した。
何が正しくて、何が正しくないのか・・・
そういうものは、自分の目で確かめないと、自分自身で体験しないと、判らないものなんだなって・・・あたしは、そう思った。
あたしは、切れた携帯電話を握ったまま、しばらく、呆然としてたけど・・・
とにかく・・・気を取り直して、買い物に出ようって思いなおした。
周りがどう言おうと、あたしは何も悪いことはしてないし!
堂々してるのが、絶対に一番だ!
免疫力を高めるっていう料理を、ケイに作ってあげるんだから、買い物にはいかないとね!
くじけそうになる自分を、そうやって励ましながら、あたしは、とにかく出かける準備をすることにした。
こうやって出かけたことをきっかけにして、あたしの心強い友達が、また一人できることになるなんて、その時のあたしは、まだ気付いてなかったのだ。