BitteR SweeT StrawberrY
「週刊ブロックよりも詳しく記事かけそうだから、もし、会社とかでさ、なんか言われたら、週刊CAP!を買えって言っておいてね。CAPのほうが正確だからって」

「あはは!しっかりしてますね!」

「自分の仕事は、読む人にも認めてもらわないとね。それに、売り上げ伸ばさないとさ!
さて、早く食べて取材いかないと!押野さんもさくっと食べちゃおう!」

高田さんはもう一度にっこり笑うと、フォークだけを手にとって、細身の体には似合わないぐらい豪快にランチを食べ始めたのだった。
その食べる速度といったら、見ていてあたしがぽかーんとするほど早いから、またしてもびっくり。
こうやって、かき込むみたいにご飯を詰め仕込んで、取材とか締め切りとかに備えるってことなのかな?
記者さんが、時間に追われてるっていうことは、高田さんをみてたら、なんとなく判った気がした。
ぽかーんとするあたしの前で、高田さんは、ご飯をもぐもぐしながら、こんなことを言う。

「もしさ・・・村木さんから連絡あったらさ、もちろん、警察にも通報してもらって、ついでに、私に連絡もらえると嬉しいかも。
週刊ブロックの記事なんかひっくり返すぐらいの良い記事書くから、是非よろしく!」

「あはは・・・」

高田さんのこのマスコミ根性というか、仕事への熱意というか思わず苦笑して、あたしも、とりあえず、ランチに手を付けた。

「まぁ、そんなことはないとは思いますけど・・・万が一の時は、連絡しますよ」

「うんうん、よろしく!」

ニコニコしながらごはんをかき込む高田さんを見て、確かに多少は呆れるけど、でも、やっぱり、仕事にポリシーを持ってる人ってカッコいい。

あたしも・・・
ポリシーです!っていえるような仕事してみたいな・・・
片手でご飯を食べ、片手でメモを整理してる高田さんを見て、そう、あたしはしみじみそんなことを思った。
食事の後、高田さんの名刺を改めてもらい、あたしも、連絡先を教えて、それから、高田さんはいそいそと次の取材に戻っていった。
あとで、今回の記事を載せた週刊CAP!を、郵送で送ってくれるそうだ。

記者である高田さんと、これからも付き合うことになるなんて、この時のあたしには、全然、想像も付かなかった。


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